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久米麗子さん
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まず、「覚えてもらう」。でも、「人」が大事。
- 佐々木
初めて『ニュースステーション』に出演するリハーサルの時に久米(宏)さんがカメラに「かをりちゃんはもう少しアップに撮って」と言ったんです。それは、顔の力がないわたしをなるべく覚えてもらうように画面の占有度を考えてくださったんですね。
人に覚えてもらうって大切なことですよね。
- 久米
大切なことだと思います。たとえ発言が間違っていたとしても、覚えていただかない限り、テレビでは、次のチャンスはいただけないんですから。
たとえば、赤い花柄のフリルの洋服で毎回『ニュースステーション』に出てニュースを読んでいたら印象に残りますよね。全部が全部、形よく、洗練されているのがいいとは思わない。
コマーシャルを例にして考えると、よくわかると思うんです。
スタイリストが割烹着のおばさんをスタイリングしている。与えられた宿題に対して何を提出するかが現場ですから、割烹着を着てニュースを読んでいる人がいたっていいわけだし、すごく印象に残ると思います。もし、それがベストな方法だと思ったら、わたしもそうしますね。
- 佐々木
わたしがユニカルを27歳で設立した時には、「20代のわたしたちが一生懸命仕事をしていることを伝えるためにスーツを着ようよ」とスタッフに言っていました。起業したばかりの若者がセーターやブラウスでは誠実さが伝わりにくいのでは?」と思った。「中も外も見てもわかるようにしよう」ということをずいぶん言い続けました。
- 久米
それも時代だと思う。たとえば戦争があったから男性のスーツが3ピースじゃなくて2ピースになったのよね。それから第二次世界大戦以降テーラードスーツを女性も着るようになった。女性の社会進出がスーツとつながった。
キャリアウーマンといわれた時代には、ピンストライプとかチョークドストライプなどのメンズのテキスタイルが入ってきた。同時に今度はレディースの要素がメンズに取り入れられ始めた。加えて作業着やスポーツウエアもね。
だから21世紀は、わたしの夢でもあるんだけれど、「共生の時代」が来たなと思っているの。
- 佐々木
え、いいなあ。服もジェンダーフリーですか。
- 久米
そう、ジェンダーだけじゃなくて職業も超えちゃう。
作業着を基本にした、シルクのワークパンツがつくられ始めた。わたしもつくったけれど、それでパーティーに行ったりするのね。
スポーツウエアをスポーツ選手じゃない人たちがコレクション会場のステージの上を歩いているわけじゃない。
佐々木さんが交渉に出向いて行くとき、バリバリのキャリアウーマンに見えようが見えまいが、「この人は誠実に仕事してくださる方かな」っていうのが10分間でちゃんとプリゼンテーションできれば問題ないと思う。
たしかに視覚も大事だけれど、人が一番大事。
- 佐々木
着るものは何でもいい、と(笑)。
- 久米
そう。格好は大事だけど、それだけで人を認め合うのはもうとっくにやめているんじゃない? 逆に日本人は、そうならないといけないんじゃないかと思います。
7/11
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