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山田昌弘さん
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大学が悪いかもしれないですね
- 佐々木
最近、大企業の人事の方から、新入社員研修が大変だということを聞きます。以前は内定が決まって入社までの間に宿題を出したりすると、入社前ですから、みんな意欲的に、一生懸命やってきたのに、この頃、入社までの間に宿題を出すと、提出が遅れるんですって。締め切り当日の朝に、「すみません、ちょっとできていないんですけど、1日遅らせてもらえませんか?」と電話がかかってきたり、「何も書けませんでした」と言って、2行のレポートを提出したり、あり得ない状況がここ何年か起きているというのです。一部上場企業です。
- 山田
それを聞くと大学が悪いかもしれないですね。ゼミで割り当てとかで、やってこない学生がいると授業が進まないのでこの間も相当怒ったんですよ。そうすると「先生、勘弁してくれませんか」って。あなたのおかげで全員が迷惑を被っているんだろって。でも結局、勘弁してくれませんかって大学で言えば、休もうが、サボろうが、遅らそうが、とりあえず、大学にとって学生はお客さんですから。ある短大の先生は、うるさいのをしかったら、事務から「しからないでくれ」って言われたんですって。
- 佐々木
そうなんですか?
- 山田
うるさいと思っても、辞められたら困るので、「うるさいと思ってもお金だと思って授業してくれませんか?」って。
- 佐々木
お金だと思って?
- 山田
入学定員を満たしていない短大なので、1人でも辞められたら経営に響くので、「うるさくてもしからないでくれ」って事務が言ったって。大学ですよ、短大ですけど。
- 佐々木
東京大学でここ2年ほど教える場を持たせていただいたんですが、最初、だらっとしていたので「熱心に聴きなくないなら帰りたいなら帰れ」と怒りながらスタートしたら。
- 山田
東大でも?
- 佐々木
はい。騒ぐ人はいないんですけど、やる気がなさそうに座っている人がいたので、スタートのときに私はそう言ったら、2人立って帰ったんですよ。でも後の人はしゃきっとしたんですね。で、いい授業ができた。すると授業が終わった後には質問の行列で。厳しいおばさんは、気に入られたのかもしれません。実はすごくいい子たちなんで、私も教えがいがあるんですが。
- 山田
大学の先生は教育をあきらめている人が増えている気がします。
- 佐々木
そうですね。そうすると今日のすべての問題は、巡り巡って、50代、60代の親も先生もしっかりせえと。大学の先生もしっかり鍛えてくれと。社会ももう少しポジティブな事例を出しながら、やる気をかき立てるようにしてくれと。何より政府、役所は、しっかり働いて模範を示せというようなところでしょうか。
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