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伊勢崎賢治さん
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紛争は自然発生的なものじゃなくて、元々は、個人です
- 佐々木
最後に、紛争の予防について、お伺いしたいんです。私、24,5歳の時、戦争をなくすために、世界の文通ネットワークを作ろうと考えたんです。知り合いが住んでいる国とは戦争はしないだろうと。でもある時新聞でフォスター・プラン(現プランジャパン)の広告を読んで、素晴らしい仕組みだと感激し、参加しました。ですからもう25年以上、日本のフォスター・プランの会員で、番号も2,300番台。フォスターチャイルドも4人目か5人目なんですね。
- 伊勢崎
ありがとうございます。本当に、フォスター・プランは、素晴らしい組織だと思います。いろいろ見てきていますが、僕は今でも、世界一素晴らしいNGOだと思っています。ものすごい隙がないシステムができていますからね。ああいった援助形態は、ないですから。僕が出てから十余年立ちまして、国連に入ってからも、他のNGOをいろいろ見る機会がありますが、やっぱり、あれだけ木目の細かいことを、大規模に、影響力をもってやれるNGOっていうのは、フォスター・プラン以外ないですね。
- 佐々木
私も、一度も嫌な体験や不安なこともなく、素晴らしい活動だと思っています。それから、その後ニュースステーションの取材で難民キャンプなどを訪問するたびに「やっぱり戦争の一番の原因は教育だ」と思ったんですね。で、学校を作ろうと。でも一方で、学校という建物のメインテナンスの難しさも各地で見ました。なので、本にも書いたんですけど、私は「国境なきシェア集団」というものを作ろうと考えているんです。仕事を辞めて長期的に貢献しに海外に出るのではなく、日常生活をしながら、プロジェクトベースで、貢献チームに参加できるアメーバ型集団。いろいろアイディアがあるんですが、伊勢崎さんは今、紛争の予防について、どうお考えですか。
- 伊勢崎
一般的な答えはないですね。やっぱり、そのケースによって全然違いますし、どこまで紛争の元を辿るのかっていうのは、まだ非常に難しい。
- 佐々木
幼児教育まで戻っていっちゃうわけですからね。
- 伊勢崎
はい。でも一番いけないのは、ステレオタイプ的な考え方ですね。これは、アフリカで言うと部族対立が原因ってことになっちゃうわけじゃないですか。でも、そうじゃないケースもいっぱいあるわけで。シエラレオネ内戦は世代対立なんですよね。
- 佐々木
世代?
- 伊勢崎
内戦の発端は、旧態依然の腐敗しきった世の中をぶっ壊すという革命だったんですよね。革命を起こした連中は、世代的に圧倒的に若い。子ども兵士までいた。部族間、宗教間対立ではないのです。こういうのって、本当にステレオタイプでしょ? これが、だから、紛争にはステレオタイプがないっていうことで、でもやっぱり共通しているのは、紛争の元となるようなものを政治的なアジェンダにして煽る人間がいること。そういう人がいないと戦争は起こりませんよね。
絶対に紛争は自然発生的なものじゃなくて、元々は、個人です。一人が最初にアジをし始めたときですよね。だから、個人的なエゴが共通した原因です。
- 佐々木
そうですね。それはもう、やっぱり一人一人を教育していくしかないのかな。
- 伊勢崎
結局、世の中をよくしたいっていうことで戦争する人もいますから。妙な正義感が出てきて。
- 佐々木
「こんなんじゃダメだ」ってね。
- 伊勢崎
やっぱり、ある意味では、教育が正義感を教えるじゃないですか。
- 佐々木
だから何を教育するかですよね。知識なのか、選択して生きる生き方や姿勢、可能性なのか。
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