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出井伸之さん
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僕は引退したわけじゃないんだよね
- 出井
そうそう、そうなんですよ。僕、「引退なさってからどうですか?」ってよく聞かれるんだけど、僕は引退したわけじゃないんだよね。ソニーという会社を引退したわけだから、もともとソニーという会社の経営を預かっていたわけで、そこから引退したわけだから、あたかも僕個人がビジネスから引退したと思われたら迷惑な話でね。だけどそういうふうに考える習慣というのはほとんどないんじゃないかな。
アメリカ型金融の最前線みたいに、24時間、死にものぐるいで働いて、それでお金を稼いだらら辞めましょうっていうのもあったけど。それでも飽きちゃうんだよね。
僕はソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのときに雇ったジョン・キャリーって人は、50歳で定年になってから15年ぐらい悠々自適の生活をしていて65歳で戻ってきたわけだけど、その間もずっと映画のことを考えていて、自分だったらどうするっていうアイディアがあったわけでね。
例えば「スパイダーマン」だったら「スパイダーマン1、2、3」を作れば、連続して楽しめるでしょ。いつも新しいもので勝負していたら、当たるか当たらないかは分からないじゃない。だから彼はポートフォリオを考えて、そういうのをやりましょうと。そういう考えは歳じゃなくて経験が知識になっているわけで、それを買おうと。
彼みたいにアーリーリタイアメントをしたら、必ず飽きる時が来るんじゃないかな。エネルギーがある人だと尚更ね。ベンチャーのエンジェルをやるとか、そういうようなことをみんなやっているんだよね。ところが日本の人というのは、いくら歳を取っても、何とか会社から逃れられないというか。あれはやめた方がいいんじゃないかな。
- 佐々木
今度、出井さんが行ったことのない普通のバーなんかにお連れしましょうか。
- 出井
僕は結構、いろんな人を呼び出すのは好きですよ。男女を問わず若手が多いかな。この前も若手官僚を呼び出して、飲みながら政策のことを色々教えてもらったし。
- 佐々木
私はそういうためになるような話はできないんですけど、じゃ、いつか。今日はなんだか5年後くらいからの日本が楽しみになりました。長時間、ありがとうございました。
対談を終えて
さまざまな会合でお会いする出井さんとやっと対談が実現しました。聞かれ慣れているはずの経済問題と違ったアプローチの私の質問に、戸惑いながらも誠実に答えてくださいました。勉強熱心、起業家精神にあふれた、強いリーダーシップのある出井さんの思想と、同時にリラックスした素顔の魅力がいっぱいでした。私のような若輩者にも素の部分で接してくださる出井さんのお人柄が少しでも多くの方に感じてもらえたら、と思います。
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