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出井伸之さん
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僕がもともとソニーに入ったのも
- 出井
そうですね。でも、僕がもともとソニーに入ったときには、そんなに大きな会社に入ったつもりじゃなかったわけですよ。大体、僕が入った年で、売り上げ9億円が伸びて100億円ぐらいだったんです。でも辞めたときは、ほぼ9兆円ぐらい。それはジョイントベンチャーを入れてないから、入れたら10兆近い会社になっていたんだよね。900倍とか1000倍になったわけでしょ。だから想定外だっていうか。会社はどんどん大きくなっていったのだけれど、こんなはずじゃなかったっていう気持ちも多少あるんですよ。
おかげで僕のソニーでの生活のほとんどが、会社がどんどん伸びていった時期なわけで、だから新規市場を開拓することばかりをやってきたんです。パリもたった1人だったからね。会社をつくったり、潰したり。ほぼゼロから10億円ぐらいのビジネスをつくったり。そういう意味では、ほとんどベンチャー。大企業ベンチャーみたいなのをやっていたわけですよ。その経験がなければ、オーディオ事業部を引き受けることはできなかったでしょうね。……それから、新規事業の立ち上げというのは、コンピューターを立ち上げるとかもやりました。
人がやりたくないようなことも、結構やっていたわけですよ。ベータマックスとVHSのことを担当したりとか。そういうのをやっていたから、大企業で大主流派にいたわけでは、全然ないんですよ。
トヨタの奥田さんもそうだったと思うんですよね。彼もポルトガルとかスペインだか、フィリピンだとか、とにかくそういうところに行ってたでしょう。大企業の社長はそういう人がなる場合が結構多いんじゃないかなぁ。
- 佐々木
企業の中で、さまざまな立場を経験して、育てられながら社長になっていく、ということなんですね。
- 出井
ソニーにいるときは、育てられているのか、いじめられているのかよく分からなかったけどね。だけど辞めてみればね、つくづくそういうソニーに育てられたって思うんですね。僕は佐々木さんみたいに頭脳優秀な人じゃないからさ、僕はソニーに入ったときは英語もしゃべれなかった、本当に。ましてやフランス語なんかもできなかったんだけど、ソニーのおかげでフランス語や英語もしゃべれるようになったし、会社のつくり方とかも、全部、ある意味ベンチャーでやっていたから、覚えたよね。
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