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鈴木 淳子さん
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通報者の秘密を守る
- 佐々木
私たちができることを、もう少し伺いたいんですが、「こんなことで通報したら、自分が通報したってばれちゃうのかしら?」と心配する人がいたりしませんか。
- 鈴木
通報者の秘密を守るというのは、ものすごく慎重にやっています。また連絡してもいいという人もいれば、匿名でという人もいるんですね。心配で通報したけれども、そのことで児童相談所がその家に行っちゃうと、通報するのは自分しかいないから自分がしたと分かっちゃうので、そういうことはやめてくれと言われることも結構あります。そうなると打つ手が少なくて困っちゃうんだけれども、いろいろなことを考えていますから、とにかく心配だったら連絡してみてください。
- 佐々木
ということは、変だなって思ったら、「どんどん通報してくださいよ、安心して通報しても大丈夫ですよ」ということも1つのメッセージですね。相談を受けている中で、子どもの年齢など、何か最近の変化、傾向はありますか。
- 鈴木
虐待の対応件数は増え続けていますが、年齢の割合はほぼ同じくらいだと思うんですよね。半分ぐらいが就学前で、小学生年齢がその次で3割ちょっと。
- 佐々木
つまり、小学生以下が8割を超える。それは中学高校になれば、子どもたち自身が声をあげられるということですか。
- 鈴木
それもあるけれど、実は中学生、高校生になると別の形で表れることも多いんです。家出、盗み、暴力など非行とか家庭内暴力とかリストカットなど自傷行為とか。だから自分からは周りに理解してもらえるようなわかりやすい形では発信することができない子どもの、親を怖がる気持ちだとか、同時に、親に求めていたり期待しているけれどがっかりもしたくなくて防衛しているような自分でもわけのわからない気持ちをどういうふうに理解するか、子ども自身も自分の気持ちや自分の置かれた環境に向き合っていけるようにするかということが、私たち心理の仕事かなっていうふうに思っているんです。
そのために、本当に子どもと信頼関係を作らなきゃ発信してくれないし。信頼関係を作るには、自分がどういう立場の人で、どうしようと思っているかというのを、その子に分かるようにいかに説明できるかということだと思う。まず自己紹介して相手に安心してもらうこと。
幼児はわからないだろうからって、思われる方も多いかと思いますが、小さい子でも、ちゃんと説明すれば分かるし、逆に話してもらえないことで自分や家族の身に何が起きているかわからず、これからどうなるのかわからずに、不安になることも多いんです。
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