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藤原和博さん
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「対案」である必要がある
- 佐々木
逆のケースはないんですか? 例えばね、総論は賛成だけど、各論は嫌だっていう人がいっぱいいて、改革は良いと、だけど私がそれをやるのは嫌だとか。あの人がここに来たら嫌だとかっていうのは企業の中でも逆によく聞く話ですよね。
- 藤原
各論になった途端に反対するとか。僕はね、例えば、リクルートでそういう癖がついたんだけど、反対というのは、当初は感情的に起こるわけでしょ。それはね、ふんふんって聞いておいて、最終的には対案である必要があるんですよ。「対案が出ない場合は原案で通しますよ」というルール。例えば、リクルートの場合なんかは、対案がない場合には、ただの文句というのは全く受け付けないですから。言っているだけで軽べつされる。だからそういう意味で、対案になっていればいい。
具体的に例を示すと、一番最初に猛烈な反対を受けたのは、体育館の横の空き地、バスケットコート大の空き地で、もう砂ボコリになっている荒れ地だったところを芝生にするというとき。
お金も杉並区の緑化予算で用意されていたのだけれど、校庭を芝生化した小学校があって、その手入れがあまりにも大変だったというウワサが伝わって、中学校の23校どこも手を挙げない。だからやってくれないかって俺は頼まれた。予算的な裏付けはもうあるんです。しかし誰もやらない。みんながやりたいんだったら条件は不利なんだけど、みんなはやりたくない、そこで手を挙げると、こういうこともやってほしい、ああいうこともやってほしいと、こちらの要望を通せるチャンスが増す。有利でしょ。だからビジネスマン的に考えれば、反対の理由はないわけだよ。やってみればいいじゃんって。
ところが先生たちからすると、自分たちの手間が増えたらたまらないし、ウワサで聞いているように、すごい手間がかかるらしいし、それによって、他の影響も出ると困るからって、いろいろな反対の理由を言うわけ。
中には、「先生は自然を増やすと言っているけども、実は芝というのは、自然ではない、人工の物だ」とか、「その土地の周りには木が埋まっているんですよ、カイヅカイブキだとか、いろいろな。その木がね、芝を入れることで、生態系が崩れて、周りの木が枯れたらどうするんだ」とか。
学校の先生って、それなりに知的レベルが一定以上の人だから、すごくいろんなことを言ってくるんだけど、「全部分かったけど、今有休地で全然生徒に使われていない。それから砂ボコリが舞っちゃって、隣近所に住んでいらっしゃる方に迷惑がかかっている。だから、もっとあそこの稼働率が上がって、子どもたちにとって良い対案を持ってきてちょうだいね。どうせ1200万かけるんだから、こういうことをしようというのを持ってきてください。来週までの1週間以内に対案を持ってきてくれれば、僕は聞く耳が十分にありますよと」と言うと、大概は対案が出ないわけですよ。
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