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藤原和博さん
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総論で議論をしないということ
- 佐々木
藤原さんが、いろいろ改革の思いや、スキルもノウハウも山ほど持って校長になられても、突然、和田中の職員、先生方の前に立って、「さあ、これやるぞ、あれやるぞ」って言ったときに、そもそも言語が通じないとか、抵抗もおありだったでしょう。
- 藤原
それはね、それを破るというかね、ビジネスマン、ウーマンが少し学べるコツとしてはあるんだろうな。
一つは、総論で議論をしないということ。ものすごく具体的に、言葉づかいを総論でやらないで、各論でやる。ブレイクダウンしていくという話なんですけど。例えば、よく教育の世界では、「社会総がかりで教育を再生しなくてはダメだ」みたいなことを評論家が言うんですよ。「社会総がかり」の「社会」というのは、一体誰のことなのと。誰と特定して何をすることが、「総がかり」になるのかということ。「社会」という言葉と、「総がかり」というのをブレイクダウンしていかないと、学校では何も起こらないのね。
その「社会」というのをブレイクダウンした結果が、例えば和田中では「ドテラ」。土曜寺子屋に導入した学生。学生だったら土曜日に時間があるじゃないか。しかも、ただの学生だと、アルバイトをやれば5千円、1万円稼げるのに、そんなところに千円、2千円の交通費だけで来てくれないでしょ。そうすると、教員になりたい大学生だったら修業になるから来てくれるんじゃないのと。
あるいは図書室を3時から5時まで開けるというときに、お金で司書なんかに頼んだら、とても雇えないでしょ。でも探してみれば、本好きのおばちゃんというのが近くにいて、本好きのおばちゃんにとっては、家の中で暇な時間に本を読んでいるより、学校に来て、図書室で本を読んでくれた方が、その本を通じて、生徒と触れ合ってくれた方が、おばちゃんにとっても嬉しいんじゃないのみたいな。
そういうことをどんどん紡いでいった結果が、和田中の「地域本部」になっているわけです。そういうふうに各論で話をしていくと、教員の方も分かるんだよね。
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