ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第117回 岩切茂さん

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建築家・株式会社TEAM IWAKIRI JAPAN代表取締役
岩切茂さん
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イタリア本社の我々のスタッフで作っちゃう
- 佐々木
建築のいろんなこだわりをお聞きしたいんだけど、建物の外を作るときのこだわりと、中を作るこだわりと、街を作るときのこだわりって、それぞれ違うんですか?
- 岩切
いや、基本的には一緒ですね。たとえば、街のスケール感。これは、まだ計画中の建物で、ホテルなんだけど。僕にとって一番大きいのはジオグラフィーなんですね。たとえば、この海辺の地形。だから、いきなりバーンと超高層とかという話じゃなくて、地形に逆らわない形を作っていく。
- 佐々木
これが、さっき言ってたイタリアの街ですか?
- 岩切
いや、これは日本なんですよ。この中で、これと、これを計画しているんだけど。こういう地形の流れの中で形が作られてきて、その形からくるインテリアが決まってきて、ということで。
- 佐々木
すると、このホテルの外観だけじゃなくて、内装もあわせていくわけですね。
- 岩切
そうですね。
- 佐々木
面白い。
- 岩切
結構やりすぎちゃうのね。こういうのが好きだから。今時、こんな模型なんか作らないです。
- 佐々木
そうなんですか?
- 岩切
自分でも、本当に商売になってないんじゃないかな、と思うんだけど、ただ、好きな人が集まっているっていうことは、どういうことかということなんですよね。
本来、ただ設計するだけだったら、こういうものは作らないんですけど、これはアニメーションなんですね。だけど、イタリアのスタッフの中に、こういうことをやるのがすごく好きな子がいて、「じゃあ、やってよ」っていう流れで。全部、コンピューター・グラフィックスだからね。これは全部イタリア本社のインハウスで、我々のスタッフの中で作っちゃうんだけど。
- 佐々木
外で作ったら相当な費用がかかりそうですものね。でもやっぱり、これを見せられれば、すごくイメージが沸くしね。
- 岩切
沸くでしょ? だからやっぱり、本当にこういうことが好きだって思わないと、金勘定だけでやってると、こういうものを作るっていう発想にならないんですよね、今の設計の業界では。
でも僕らは、自分達のこだわりっていうのは、とことん、こういうビジュアルなプレゼンテーションを準備して、自分達も、こういうことで、あそこが悪い、ここがいいっていうチェックができるから。
だから変な話、日本でこういうプレゼンテーションをしていると、やっぱり徐々に知れ渡っていて、大きな設計事務所の人から、「こういうプレゼンテーションは、もうするな」って怒られたことがあるんですよ。客がこういうのに慣れちゃうと、皆やらなきゃならなくなって困るって。確かに実際問題、こういうのはインハウスで作ってなかったら、とんでもないお金を取られちゃうのね。
- 佐々木
そうですよね。なかなかできないと思います。
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