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毛利 子来さん
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自転車を買えって言いだしたの
- 毛利
親も「宿題は?」とか「忘れ物はない?」とか言うのは、あなたのためとか思っているんだけど、親は、宿題をしていなかったら将来ダメ人間になるんじゃないかとか、少なくとも学校で恥をかいて、可哀想だっていう親心で「宿題は?」とか言ってるんじゃないかな。
- 佐々木
あるいは、「親が監督していなかった」と、後で怒られるのがいやだからとか(笑)。
- 毛利
親の不安とか期待とかを満たせば、親は安心する。子どもは、その分迷惑を受けるんですね。
僕の上の子がね、小学校3年ぐらいの時に、ちょうど高度経済成長期で、モータリゼーションで自動車がバーッと東京なんかに増えちゃって、1日に自動車事故で20〜30人死ぬっていう、まさに交通戦争。戦争状態ですよ。
その時に、自転車を買えって言いだしたの、その娘が。でも、親にしてみれば、自転車を買う事は、殺すようなもんだと思うんでね。買え、買わない、で1ヵ月ぐらい親子げんかしていましたけど。
ふとある晩、すぐ酒の話になるけど、かみさんと酒を飲みながら、しんみりね、「買ってやらなきゃ、……自転車に関する事故については、僕らは安心するけど、あの子は、自転車に乗る楽しみを奪われている。それから、自転車に乗るスキルも得られない。それに友達で自転車を持っている子も結構いるから、友達関係も裂いてしまう。これは、この子のためじゃなくて、僕らのためだなあ」と思ってね、買いましたね。そりゃあ心配だけど、仕方がないですね。
- 佐々木
そうですよね。
- 毛利
だから僕は、「あなたのため」っていうのは、なるべく抑えるのが親の役目だ、と思ってます。医者も、そうですね。
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