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毛利 子来さん
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子どもにとっては、自分の親は可愛いんですよ
- 佐々木
私自身は、親に友達感覚は持ちませんでしたが、特に命令された記憶もなく、放ったらかされて育ったような記憶があるんです。今、自分が親になって子どもを育てているわけですが、結局、いろいろやってみています。でも私は私ですから、これ以上どうにもならないっていう所も、もう見せようと思って。
「悪いけど、今日はお母さんの全力を尽くしました」って宣言しちゃうこともあります。「この先はもう、お好きにやってください。お母さんは、すべての知恵と体験を、あなた達に今言い渡しました」みたいなふうに(笑)。
- 毛利
それ以上に、子どもにすがるというか、子どもを頼りにするっていうのも。
- 佐々木
そうですね。「お願い」とか。泣いた事がありますね、私。子どもの前で。
- 毛利
ああ、それは、いいんじゃないでしょうか。
- 佐々木
泣きながら、「もう、お母さんダメなんだから、もう、いいの」って。そうすると、子どもたちが慰めてくれます。「いいお母さんだよ。世界一だよ」とか言って(笑)。
- 毛利
そうそう。哲学者の鶴見俊輔が、「子どもには親性がある」って書いていますけど、その通りですね。子どもは、親の面倒をみたい、可愛がりたいって気持ちがあるんですよ。
だから僕もあったんですけど、たぶん夫婦げんかだと思うけど、嫌な事があってふさいでいたら、「パパ、これあげる」って、娘が、自分の口の中から飴玉を出して僕の口の中に入れてくれたりね(笑)。母親がムスッとしていたら、いい子いい子してあげるとか、抱っこしてあげるとか、親思いがありますから、それは利用しない手はないですねえ。
だから、たとえば、晩の食事のメニューは何にするか困った時に子どもに「今晩、何にしようか?」って聞くのは、手ですよ。すると、「カレー」とか「ラーメン」とか、言う事は決まっているけど、「じゃあ、それにしようか」で決まるから、楽で。
それで、出てきたものは秋刀魚だったりして、「母ちゃん、嘘ついた!」っておこったって、「何よ! 今日は秋刀魚が安かったのよ。カレーのつもりでマーケットへ行ったら、秋刀魚が大安売りしてたから、それにしちゃった」って。それでいいんですよ。
- 佐々木
やっぱり楽しく。それに、ゆるさというか、そういうものが家庭の中にあるのが、すごく重要なんですね。
- 毛利
そういうことですね、杓子定規には行かないですね。お母ちゃんもお父ちゃんも嘘をつく、失敗もする、やらなきゃならない事をやれずにいる、ってな事が見えている方が、子どもにとっては、自分の親は可愛いんですよ。「助けてやろうか」ってなってくれたりするから。
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