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張 晞さん
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社員が成熟していることの証拠です
- 佐々木
その人たちをそうやって育てるまでには、時間がかかったのでしょう?
- 張
もちろん。人数は増えていないけど、売り上げは増えているってことは、社員が成熟していることの証拠ですよね。
- 佐々木
確かにそうですよね。同じ10人で、8億円だったときと12億円ってことは、社員がよくなっているわけだから。この先、どこまで売り上げを追及するんですか。
- 張
どうしよう。分からないですけれども、頑張れるところまでやりたいな、と。私は全然目標を与えていないんですけど、みなさん自分でやっているんです。
例えばうちのトップのセールスの女性は、彼女の心の中で、口では言わないけど、20%の伸び率、本人が決めているんですよ、気持ちの中では。
私は、「これ以上は無理よ」って、いつも言っているんですけど、本人は、「どこまで行けるか試してみたい」と。それを聞いて、私、泣いたんですよ。「すごいな。尊敬します」って。
- 佐々木
そういう関係って、やっぱり張さんの魅力なんでしょうね。普通は、社長が「20%」って言うと、社員が泣いて「もうこれ以上できません」って(笑)。
- 張
でも、SARSのときもそうですよ。SARSのときは、本当に電話がなかったんです。
だから私、「もう、休みましょう。普段みなさんが土日しか行かない美容室は、平日にどんなにサービスを受けられるか、みんな試してみよう」とか、「デパートに行きましょう」とか言ったんです。
でも誰も行かないので、「なぜ?」って聞いたら、1人の女性の社員が、私にちょっと怒って、「社長がそういうことを言ったらダメです」って。
「どうしたの? 何か間違えてる?」って言ったら、「お客さんから問い合わせがあったとき、常に私たちはいます。電話番をしています、っていう安心が、お客さんにとって、どれだけ大きいか。だから、外出なんてダメです」って。
私は「そうですか。すみません」って謝りました。それから誰も休んでいない。毎日来て、お客さんに電話をかけたりしました。
それで私、ピンときたんですよね。SARSはいつか絶対終わる。それは分かっているんですけどね。絶対、いつか終わるんだから。伝染病ですから。だから、自分たちで手紙を書きました。
私たちも苦しいんですけど、お客さんはもっと苦しい。お客さんの損害はもっと大きい。工場があったりしたら、全部ストップですよ。毎日、何千万円、何億円の損害が出ているから。
だから、私たちも苦しいんだけど、お客さんがもっと苦しい気持ちを理解して、はがきを書きました。
それもあって、SARSの後のリバウンドは、ものすごかった。すごかった。SARSの終わった後のリバウンドで、みなさんが感じたのは、「仕事があってどんなに幸せか」って。その味は、すごく分かったんですよ。
- 佐々木
張さんは、社員教育っていうのは何かしているんですか?
- 張
してない(笑)。仕事が終わったら、急いで帰って、子どもの世話をしないといけないから。
- 佐々木
そうですよね。何で、そういうチームができるんだろう? 普段の張さんがすばらしいのね。
- 張
いや、普段、私が自分から予約を取っていったり、苦しんでいるのを、社員が見ているんじゃないかな。分からないけど。
でも社員から、いろいろ教えてもらっています。だから、いい意見があれば必ず取るし。SARSのときもそうだけど、反日デモのときもそうなんですけど、いろいろ全部教えてもらって(笑)。
- 佐々木
すばらしい。これからも私は張さんにいっぱい教えてもらおうと思いますし、中国旅行に行くときは、ぜひお願いしたいと思います。
今日は、お忙しいなか、どうもありがとうございました。この対談の時間、張さんがいなくて、困っているお客さんがいらしたことでしょう。ありがとうございました。
対談を終えて
知り合ってから10年くらいたつでしょうか。その間、ずっと、凛としている張さんの姿を、いつも敬意を持ってみてきました。会うたびに、大きくなる彼女。今回は、その理由がいろいろと分かりました。経営の考え方も、結婚生活も、そして、中国での幼い頃の生活も、すべてが今の張さんを作っているんですね。たくさん面白いお話を聴くことができました。これからも、定期的に会って、いろいろシェアしたいです。
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