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Darcy Neillさん
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こんな仕事をやってみませんか、という「招待状」を出す
- 佐々木
でも上手く行かないこともあります。リーダーシップの話と関係がありますが、期待を高く持ち、高い品質を見せ、伸びるとおもうスタッフに仕事を依頼しても、それが上手く行かないこともあります。こうしたスタッフに、だからといって、無理矢理仕事をさせるわけにもいきません。
- ニール
私も、組織のトップとして仕事をしてきて、同じようなことがありました。そのような状況に陥った場合、この人が良くなったらいいと考えるのは、私のニーズではないだろうか、それとも、本人のニーズなのか、と自分に問いかけることにしています。
もしかすると、その人は、十分に役割を果たしているし、今の仕事で満足していて、問題もない。それ以上の輝きは望んでいないのかもしれません。必ずしも、誰もが、新しいことを挑戦しようとは、思っていないということも、一方で事実なのです。
ですから、そういう人には、こんな仕事をやってみませんかという「招待状」を出す。そして、「もしかすると、私のほうが期待しているのであって、あなたは望んでいないかもしれませんが……」と話をしてみると、たいていは、「そんなことはありません! 私も挑戦したいのです。やります」と言います。もし本人の意志が確認できたら、それは、本人からの「許可」ですから、挑戦課題を与えていっても良いのだと思います。
- 佐々木
もし、招待状を受け取ったけれど、私は、お誘いは受けませんと断ってきたら、どうなのでしょう。
- ニール
その人が幸せで、こちらもその仕事を担当してくれるという役割が必要な場合は、そのままで良いでしょう。遅刻もせず、まじめに働いているのなら、その人がプレッシャーを感じる必要はないのです。「誰もが成長を望んでいるのだろう」という私自身の考えを、ちょっと脇においておきます。時には、その方がいい場合もあるのです。組織の中では機能上の役割も必要ですし、実際に、全員がトップに立てるわけでもありません。
ヨルダンのオフィスに、トレーニングのマネージャーの有能な女性がいました。その彼女は2〜3年前、出産をしたのです。1年間、育児と仕事を全力で取り組んでいました。が、二番目の子供の出産を迎えるになったとき、0歳と2歳の子どもの母として、24時間体制のトレーニングマネージャーは難しいと思ったのです。
そのとき、私は、彼女を失いたくないと考え、一つのポジションをオファーしました。それは、私のアシスタントの仕事でした。トレーニングマネージャーと違って、アシスタントは、確かに、役職は下がりますし、給与も低くなります。しかし、勤務時間も明確で、突発の対応もなく、週末は必ず休める。最初、彼女は、自分自身の今までの経験も役職もありますから、カントリーマネージャーのアシスタントは考えられず、トレーニングマネージャーとしてしか、自分を見ることができなかったので、抵抗があったようです。でも産休中、産後4〜5週目に私のところに来て「あなたの言うとおりです」と彼女は新しい仕事を受けることを選びました。私は、彼女のために、そのポジションを空けて待っていましたので、本当に良かった。
これにより、彼女を失うことなかった、ということも良かったことですし、彼女は、トレーニングに対しての豊富な経験をもっていますので、その後も、会議に参加してくれると山ほどのアイディアを思いつくのです。しかし、一方でアシスタントなので、5時になればオフィスを出ることができる。
特に女性の場合、柔軟な勤務環境を提案することが良いのでしょう。ですから、時に、部下への働きかけは、今までより少ない仕事をするという提案もあるわけです。それは、その人にとって、これから数年間のことかもしれませんが、時期や状況に応じての柔軟性が必要です。私は、短い期間その国にやってきて仕事をするのですから、もうすこし短期間でものを見ているのかもしれません。つまり人によって、状況によって、仕事への取り組み方が違うことも、上に立つものは知っている必要があるのです。
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