ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第101回 渋谷 和宏さん

101 |
渋谷 和宏さん
|
|
|
部数を伸ばすためには、3割バッターでいいんです
- 渋谷
実は雑誌って、部数を伸ばすためには3割バッターでいいんです。3回に1回ヒットを打てばいい。そうすると部数は着実に伸びていきます。しかし4回に1回のヒット、2割5分の打率だと部数は下がっていってしまう。3割バッターであるか2割5分のバッターであるかが、その雑誌がうまくいくかどうかの分水嶺なんです。
これは逆に言えば、毎号ヒットを狙わなくても部数は伸ばせるということですよね。ヒットを打ちにいって外してしまう号を計算に入れても、だいたい3号に1回くらいは、「この企画では売れないかもしれないけれど、すごく大事なことだからやろう」とか「これまでアソシエを手に取ってくれなかった人を読者として開拓しよう」という意図のもとにやりたいことをやれるわけです。
- 佐々木
半歩進んで、少し先を提案してあげたりするということですね。
- 渋谷
そうですね。雑誌がエバーグリーンでいるためには、そうした挑戦が必要なんですよね。もちろん、そんなことをやってばかりいると、今度は既存の読者からそっぽを向かれてしまいますので、あくまでバランスが重要なわけですが。
- 佐々木
今まで、アソシエの中で、「これは当たった」っていう、大きく当たったテーマみたいなものは、ありますか?
- 渋谷
「話す」とか「書く」といったコミュニケーションをテーマにした号はいつもよく売れますね。それから少し古い話ですが2004年2月の「ロジカルシンキング(論理的思考力)」、これがヒットしてくれた時のことは今でもよく覚えています。
アソシエは2002年4月に月刊誌としてスタートして、好調だったので2003年6月から月2回刊に刊行頻度を増やしたんです。ところが月2回刊にしたとたん、部数が減ってしまいました。それまでは店頭に1カ月間並べられていたものが2週間しか並べてくれない。さらに第1・第3火曜日が発売なので、7月は3日と17日、8月は7日と21日という具合に発売日が毎月変わっていき、読者になかなか購買習慣をつけてもらえない。この結果、一番落ち込んだときには月刊時代の半分にまで部数が落ち込んだんです。
それまでは順風満帆だったのに一気に逆風に直面したこの時期は、本当にきつかったですね。社内ではいろいろ言われるし、大手コンビニエンスストアからは「このままだと、扱いをやめる」と通告されてしまうし……。そんな追い詰められていた最中に、もっとテーマを絞り込んだ特集をやってみようということで企画したのがロジカルシンキングの特集だったんです。
結果は当時の水準からすると大ヒットでした。そして、それをきっかけに部数が伸び始めて、半年ごとの平均部数で言うと2003年下期から2006年上期までずっと右肩上がりで伸びているんです。
25/27
|
 |
|
|