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渋谷 和宏さん
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どういう風が吹いているのかっていうのを感受する
- 佐々木
渋谷さんの底力っていうか、秘密は何だろうなって思うんですよ。
- 渋谷
底力だなんて、僕なんかそんな……。ただ、これまでいろんな人たちにインタビューしてきた経験で言うと、モノづくりも含めて、仕事で結果を出している人には、「聴く力」とか「洞察力」に長けた人が多いなと僕は感じているんです。つまり、何気ない日常会話や商談、定量的なアンケート調査などを通して、人々の無意識に潜むニーズやワンツを聴き取れることができた人が、新しい価値を生み出しているんじゃないでしょうか。
逆に言えば、人々の心の声や、市場に吹く風の音を感受できたなら、それを踏まえてどのようなモノやサービスを作り上げていくかは、個々人のキャラクターや能力に応じてそれこそ無限の方法論があるはずです。ですからまず「聴く力」、これがポイントなのではないかと思いますね。
- 佐々木
渋谷さんはそれをどうやって身につけられたんですか?
- 渋谷
僕なんかまだまだですが、大きかったのは、やはりアソシエを開発した時の体験ですね。片端から20代、30代のビジネスパーソンに会って既存の雑誌への不満を聞き、ある男性が言った「(既存の雑誌って)遠いんですよね」という言葉がヒントとなってアソシエのコンセプトが出来上がっていった。その体験が今でも胸に深く突き刺さっていて、折に触れて「聴く力」の大切さを噛みしめているというのが一つあると思います。
それからもう一つ、大きな体験がありました。実は、同じ時期に20代から50代までのビジネスパーソンに対してアンケート調査を試みたんです。ビジネス誌に載りそうなコンテンツ、例えば「トヨタのような強い企業の戦略」や「ビジネスマナー」「日本経済の行方」「アメリカ経済の動向」などを30項目ぐらい並べまして、「これらの中でどんなコンテンツなら、お金を出しても読みたいと思いますか。いくつでもいいから丸印をつけてください」と、5歳刻みで年齢別に質問したんですね。
すると、35歳までの若い世代では多くの人が「読みたい」と丸印をつけるのに、36歳を過ぎると急に丸印が減ってしまう項目が二つ、あったんですよ。つまり若手は読みたがっているけれど、中高年はあまり関心を示さないコンテンツですね。
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