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渋谷 和宏さん
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年間4冊、別冊を出すということになっていまして
- 渋谷
あと僕の場合はただ情報を伝えるだけでなく、読者の感情を動かしたいという気持ちが強かったのだと思います。ある情報が人の胸にストンと入る時って、ただデータが伝わるだけではなく、感情のうねりを伴っていますよね。それが「すごく納得できた」とか「面白かった」といった評価につながる。そこを狙って記事を書いたというのが今からすれば良かったのかもしれません。
それから中小企業の経営者の方々にお会いすると、僕なんか比較にならない大変な挫折を経験していたり、すさまじいコンプレックスをバネにしているとか、途方もない夢を見て、それに向かって24時間捧げているとか、生き方そのものが感動的ですよね。そうした人たちと響き合えたのも幸運でしたね。
- 佐々木
経歴を見ますと、日経ビジネスの副編集長をしながら別冊を担当し、成功させたということですけど、これはどんな別冊ですか?
- 渋谷
まさにアソシエの前身で、20〜30代のビジネスパーソンをターゲットにした日経ビジネスの別冊でした。
僕は書籍の編集を担当する出版局編集を経て、97年に日経ビジネス編集部に副編集長として復帰したんですが、その当時、日経ビジネスでは年4冊、別冊を出していて、それらは副編集長が持ち回りで担当していたんです。僕が担当する前は、別の副編集長がビジネスグッズに焦点を当てた別冊を作っていたと記憶しています。
それで僕の番になってきた時、僕自身、とりわけ20代のころはすごく悩みながら仕事に取り組んできた経験があるので、「20〜30代向けの別冊を作ってみたい」と提案しました。それで「日経ビジネスウィナー」というベタベタなタイトルの別冊を出したところ、予想以上に売れたんです。実売率は7割近かったと思いますね。
単独の別冊で7割の実売率を実現することってあまりないんですよ。それで「引き続きお前がやったらどうだ」と当時の局長に言われて、全部で5つ、別冊を作ったんです。
- 佐々木
それらは、人にフォーカスしたものだったわけですね。
- 渋谷
ええ、すべて人にフォーカスした別冊でした。ただ、その取り上げ方はそれぞれ違っていて、サブカルっぽく笑いを加味してみたり、主に起業家を取り上げてみたり、組織でどのように頭角を現すかをテーマにしてみたりと、さまざまな実験を試みてみたんです。
結果は2勝3敗でした。2冊は7割近い実売率で、後の3冊は5割前後です。それで何となく「20〜30代向けのビジネス雑誌は難しいと言うけれど、もしかしたらやれるんじゃないかな。定期媒体にしても読者がついてくるかもしれないな」っていう感じが、少しずつ自分の中で積み重なっていったんです。
- 佐々木
それが、アソシエにつながっていくということですね? ということは、アソシエは、ご自分で企画提案をたて、手を上げて、準備していったということなんですね。
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