参議院選挙、問われるのは有権者だ
藤田正美(ふじた・まさよし)
『ニューズウィーク日本版』編集主幹
2001年7月14日
参議院選挙が始まりました。今回の選挙は、驚異的な高支持率をもつ小泉内閣が迎える初めての国政選挙です。それに政党同士が争うという従来の構図の上に、「改革派対守旧派」という構図も重なっています。
このために、誰に投票すればいいのか、有権者にはわかりにくいという声があります。何とも皮肉な話ではありませんか。ずいぶん長いこと、日本は選挙に政策論争がないからだめだと指摘されてきたのに、いざ政策論争(郵政民営化とか国債発行の制限とか)が始まると、有権者は投票するのに戸惑ってしまうのです。
小泉改革を支持して自民党に票を入れれば、それは自民党内の守旧派を利することにもなります。改革を支持する人が野党に入れようとしても、たとえば民主党は、地方交付税問題や郵政民営化に関しては、小泉首相より及び腰です。
もちろん何がなんでも改革をすればいいわけではありません。しかし、小泉内閣についていえば、政治のやり方が従来の自民党政権(それと細川内閣や村山内閣などの非自民党政権)のときよりは透明になっているのではないでしょうか。それが高支持率の要因だと思いますが、私たちが考えておかなければならないのは、透明になればなるほど政策決定の責任は私たちにかかってくるということです。今までは個々の候補者が何を考えているのかよくわからないから、国会が国民の意思を代弁しているとは感じられなかったのではないでしょうか。
今回は、それぞれの候補者が小泉改革に対して意見を表明せざるをえないわけですから、それを選ぶということはまさに有権者の意思であるわけです。こんなに国民の意思を問われる選挙は歴史的にもあまりなかったのですから、その意味ではわれわれの政治的な成熟度も問われる選挙ということが言えます。でも比例区などは誰に入れればいいんでしょうね。教えてほしいもんです。