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第8回 西本智実さん
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自作の詩でコンサートの感動を表現 |
進藤 |
今回、日本での演奏会のために帰国されて。いかがでしたか? |
西本 |
まず、感覚的に気分が楽なのはロシアです。ロシアのほうがおもしろいですね。だって、わたしが舞台に上がるときにはいまだに「日本人の」って紹介されるんです。 |
進藤 |
名前と一緒に? |
西本 |
首席指揮者のトモミ・ニシモト、「日本人」って。 |
進藤 |
オリンピックじゃないんだから(笑)。それはやはり人種の壁ということですか。 |
西本 |
それはどこの国でもあります。だから、舞台に上がるとき、日本人だし、指揮者にしたら若いし、女性なので最初はガヤガヤ大変なんです。でも演奏を始めてしまえば、静かになります。音楽を聴いてくれているんですよ。それがとても幸せなんです。 |
進藤 |
内容で判断してくれる。日本との違いは? |
西本 |
民族性かな、日本人はやっぱりおとなしい。隣に座っている人が拍手をして、自分も拍手をする、みたいな。 |
進藤 |
表現の仕方が違うんでしょうか。 |
西本 |
クラシックが日本に入ってきて、まだ年が浅いというよりは、自信のなさが出ているのかな。
カーテンコールにお客さんが花束を持って来てくれるんですが、ロシアでは、花束を渡しながら、コンサートの感想をいきなりわーっと話し出すとか、突然、楽屋に入ってきて、感動したから詩を作りましたということがあります。
人間は基本的に芸術家なんです。曲を聴いたときの感動を、普通の人たちが「芸術家」として表現してくれるんです。 |
進藤 |
詩を読むのもよし。なんでもその人オリジナルの方法で表現するんですね。 |
西本 |
参加型なんです。たとえば、いわゆる「クラシックマニア」と言われる人に多いけれど、自分では演奏しないのに、ここの一節がよくなかったとか解説する人が、わたしはあまり好きじゃありません。 |
進藤 |
批評ばかりが先にたっちゃうのは、ですね。 |
西本 |
それもだんだん、変わってくると思いますよ。わたしは、ロシアにいて、ロシアを見ていますが、あの国だってものすごいスピードで変わってきています。 |
進藤 |
クラシック界がですか。 |
西本 |
クラシックだけでなく、世の中全体が変わってきています。 |
進藤 |
それは? 変化をどんなときに感じるんですか? |
西本 |
うーん、匂い?(笑)
いいことか、悪いことかはわかりませんが、ちょっと大変な変化がおきていることを感じています。 |
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