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第7回 藤田理麻さん
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すべては自分の発想しだい その2 |
進藤 |
たとえば、そのデッサン力はほとんどないんだけれど、「うわ、この子はおもしろい発想しているね」っていう絵というのは……。 |
藤田 |
絵は上手じゃないんだけれど、コンセプトがおもしろい。たとえばワインラベルをデザインしてくるっていう課題が出るとします。わたしは「じゃあ、ぶどう園でも描こうかな」っていう発想をします。
でも、みんなの作品を見ると、ワインラベルなのに、宇宙飛行士やニワトリの絵を描いている。とにかく「えっ?」っていうものがいっぱいあるの。 |
進藤 |
それは、描いた人なりに、何かテーマがあるんですよね。 |
藤田 |
そう。みんなコンセプトがしっかりあるの。 |
進藤 |
なぜニワトリや宇宙飛行士なのか、理由がきちんとあるんだ。 |
藤田 |
みんなの前に立って「これが僕の作品で、なぜこうかっていうと」っていう説明をします。将来、自分の作品を売り込む時の練習ですね。 |
進藤 |
なるほど、なるほど。なんで宇宙飛行士じゃなきゃならないのか、みんなに納得させなくちゃいけないんですね。 |
藤田 |
宇宙飛行士の場合は、たとえばですけど、ロケットに乗ってワインを飲みたいとか、定義づけをするんです。その理由がさまざまで楽しかったですね。すごく影響されたし、成長させてもらいました。
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進藤 |
そういうのを見抜く試験官もツワモノですね。 |
藤田 |
当時は試験官に、現役で活躍しているデザイナーの人もたくさんいましたしね。 |
進藤 |
理麻さんが感じるアーティストの共通点ってなんですか? ご自身も含めて。 |
藤田 |
絵を描くことが好きっていうのはみんな一緒でしょうね。わたしも、絵を描いている時が一番幸せなの。 |
進藤 |
個展が迫っている時など、たくさん作品を描かなくちゃいけない。まさに現在ですが(笑)そういう時でも、苦にはならない。 |
藤田 |
つらい時もありますが、結局は幸せかな。でも、スランプはもちろんあります。 |
進藤 |
どうなっちゃうんですか。 |
藤田 |
スランプの時は楽しい絵が描けなくなります。以前、あるエージェントから「理麻さん、悲しい絵は売れないから、楽しい絵を描いて」って言われたことがあるんだけど、そういう時は言われると余計、描けなくなっちゃう。でも、その時の絵は完売したんです。 |
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