【第16回】翻訳はコピーブランド?
出張さんのご意見に、思わず「そうそう!」と共感しました。むしろ、つね日ごろ感じていたことに共感する方を発見して、とてもうれしく思いました。
Dark Angelもそうですが、NHK深夜放送の海外ドラマが好きです。ふだんは副音声で英語のまま鑑賞しますが、いつもビデオに録画して、聞き取れなかったところをあとからチェックしています。
今でも覚えている衝撃的だったテレビの吹き替えは、STAR WARSのレイア姫です。Dark Angeleのように、レイア姫も大変かわいらしく、女の子らしい吹き替えでした。ところが、ビデオで見たオリジナルでは、精神的に強く、タフなリーダーとしてのレイアだったのです。まるで違う物語のようでショックを受けました。「ああ、日本語化されたヒロインは、アイドルのように描かれるのだな……」と初めて感じた瞬間でした。逆に、男性俳優の場合、ヒーローはオリジナルでは考えられないほど、強くたくましく自信に満ちた声になってますよね。ブルース・ウィリスやリチャード・ギアがその極み? 強くかっこいい男と弱くかわいい女……? 小さい頃から『日曜洋画劇場』が大好きだった私は、それ以来、欺かれている(いた)ようで、吹き替え版を見たくなくなってしまいました(おかげで英語力を維持できてる気もします)。
翻訳というポイントからみると、映像表現では、どうしても文化の違いから、まったく異なった表現になってしまうことにはうなずけます。特にコメディでは。翻訳者の方のご苦労と工夫に、うならされることもあります。吹き替えの中で、「たこ焼き」を説明しているヒマはありませんものね。やはり、「耳で聞いて即理解できる母国語」のインパクトは大きいですよね。
出張さんは、心のツボにはまった吹き替え版がお好きとのことでしたが、私はやはり、胸に深い悲しみを抱えつつ、凛(りん)として生きるオリジナルの表現の方が好きだな、と思っております。共感できる方を見つけることができて、少しうれしく思います。(まゆみtm)
出張勝也さんより
まゆみtmさん、ご丁寧な感想をいただき、ありがとうございました。
Dark Angelに関しては、吹き替え版が好きでしたが、他の海外番組の場合には、オリジナル版の方が好きだということが多くありますよ(たとえば、Melrose Placeという番組がかつてありましたが、これは断然オリジナル版が好きでした)。
ただ、どちらが好きになるのかは、最初にどちらの版を見たかによっても、かなり違ってきます。人の印象もそうですが、第一印象は大切ですね。
これからもewomanはもちろんのこと、僕のコーナーにもお立ち寄りください。
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