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市場原理の導入は人件費の高騰をまねく
構造改革が進み、さまざまな分野で市場原理が導入されれば、すべてがうまくいくように語られている。しかし、貧富の差がますます拡大するなど負の部分も考えられるのではなかろうか?
いろんな評論家が「市場原理が導入されたら努力した人が報われる社会になりますよ」と言っていますが、これはまったくの嘘。アメリカを見ればわかるように、会社の上層部に巣喰っている働かない役員たちがどんどん給料を増やしていく。日本の社長ってせいぜい3,000万円、すごい人でも5,000万円しかもらってない。でも、アメリカは20億円も30億円ももらっている。日本のお金持ちたちはそうなりたいわけなんです。
当然、人件費がパンクする。だから「下々の給料を下げるぞ」と言っているのです。これが「民」の部分での構造改革の正体なんですよ。
「官」の部分――働いてない特殊法人だとか公益法人――「ここを叩き潰そう」と言った小泉純一郎に対して、国民は拍手喝采した。官の改革はどんどんやればいい。でも、民間の改革とは何も関係がない。ところが、官と民の改革が、密接不可分なセットであるかのように「構造改革」と言って、今いきなり民間をアメリカのようにしてしまおうとしているんです。
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