<2ページ目からの続き>
「内部告発」がなくなってしまう これは、驚くべき論理だと私は思います。記者が公務員から情報を得ようと取材をし、その結果、公務員が内部のことを知らせるのは、法律違反になる。だから、記者に情報を出さないようになれば、「歓迎すべきだ」というのです。
これでは、記者は、役所などの発表記事をそのまま報道していればいい、ということになります。発表記事だけを伝えていたのでは、戦争中の大本営発表です。報道機関は、役所の情報を国民に伝える伝達機関に成り下がってしまいます。
もちろん、「いまだって日本のマスコミは役所の発表をそのまま伝えているだけじゃないか」という批判はありますが、これが、もっとひどいことになってしまう恐れがあるのです。
また、これでは、公務員の内部告発は一切なくなってしまう可能性があります。「うちの役所では、こんなにひどいことが行われている」という情報を記者に伝え、記者が報道することで、「ひどいこと」が正されていく。これが、民主主義社会の姿だと私は思うのですが、発表以外は、役所の内部のことが一切わからなくなってしまいます。
「役所の判断はいつも正しいから、報道機関は役所の発表を伝えていればいいんだ」ー東京地裁の判断は、事実上こう言っているようなものなのです。
先ほどから私は「東京地裁の判断」という言い方をしていますが、この判断を示したのは、実はひとりの裁判官にすぎません。しかし、こういう判断をするような人が裁判官になっているという現実に、私はショックを受けています。
ところが3月17日、東京高等裁判所は、東京地裁とはまったく異なった判断を……
|