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第13回(4) 2006/02/07
中東問題―過激派ハマス躍進の理由は?
【 happykingさん(東京都/会社員/34歳/女性)からのギモン】
パレスチナ問題は、何が原因で、どういう経緯をたどってきたのですか? また、この問題が世界や日本に与える影響も教えてください
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<3ページ目からの続き>
一方、日本の当面の援助予定は約1億ドル。117億円です。日本として援助を予定通り実施するかどうかは、まだ方針が定まっていません。
イスラエルは、これまでファタハ主導のパレスチナ自治政府とは和平交渉をしてきましたが、ハマスとの交渉には一切応じない方針です。それどころか、「もしハマスがテロ攻撃を再開したら、指導者を暗殺する」と宣言しています。事実、2004年には、ハマス創設者のヤシン師を暗殺し、後任の指導者も暗殺しています。
こうなると、和平を進めようとしていたイスラエルのシャロン首相が倒れたこともあり、中東和平の行く手には暗雲が垂れこめることになります。
その一方で、これまでファタハを批判していればよかったハマスは、政権を担わなければならなくなったことで、責任ある立場になり、穏健な方針に転換するのではないかという観測もあります。去年パレスチナ住民を対象に行われた世論調査で、住民の81%が、イスラエルとの和平を支持していることから、民衆に支持されるハマスとしても、この住民の意向を無視することはできないのです。
イスラエルと和平交渉をしてきたファタハも、過去には反イスラエル武装闘争を展開してきたテロ組織でした。それが、責任ある立場になると、和平の道を選択せざるを得ませんでした。ハマスについても、同じような道を歩むのではないかという希望的観測もあるのです。
民主的な選挙で過激派が躍進する皮肉
今回の選挙でハマスが政権を掌握することになれば、実はアラブ世界で「民主的な選挙で政権交代」というのは、初めてのことなのです。
これまでアラブ世界での政権交代は、クーデターか革命しかありませんでした。
選挙自体も、民主的な選挙には程遠く、そもそも野党の存在が認められなかったり、自由な選挙活動ができなかったりという状態でした。去年実施されたエジプト大統領選挙もそうでした。野党が選挙に勝つと、軍隊がクーデターで政権を押しつぶしてしまうというアルジェリアの例もあります。
そういう意味では、ハマスの勝利は、パレスチナ自治区の民主化が進んでいる証拠ではあるのです。
ただ、民主的な選挙を実施すると、イスラム原理主義過激派が勝利してしまうという、何とも皮肉な現実があることも事実です。
アラブ世界では、独裁体制が続く国家が多く、民衆の不満は各国で高まっているのですが、健全な野党の存在が認められていません。このため、イスラム原理主義過激派が、民衆の不満の受け皿になるという構造になっているのです。
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