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なんで「流通市場」が必要なのか
新しく仕事を始めようとする人が会社をつくるために株を発行し、それを買って資金を提供してくれる人がいることによって、新しい株式会社が生まれ、経済は活性化していきますね。このために「発行市場」が必要なのは、わかりますね。では、「流通市場」は、なぜ必要なのでしょうか。
流通市場は、株の売買によってもうけようという人たちが参加しているのですから、安く買って高く売るという、商売の大原則でもうけようと知恵の競い合いが行われています。中には、当然ながら「マネーゲーム」の要素も出てきます。
でも、流通市場は、それが当然なのです。中にはマネーゲームもありますが、株の売買が自由に活発に行なわれていれば、株を追加発行して資金を集めることが容易になります。株の追加発行を「増資」といいます。株式市場に上場していれば、資金調達が容易になりますから、その会社がさらに発展する足掛かりになります。
また、新しく株式会社を作って仕事を始めようという人にとっても、株を発行して買ってもらうことが容易になります。株を買って資金を出す人は、「この会社が将来大きく発展して株式市場に上場すれば、この株が高く売れる」と考えて資金を出してくれるからです。
株式会社を新たにつくる人にしても、将来上場できれば、自分が持っている株が高く売れ、莫大な収益が入ります。これが「創業者利得」です。
こうして、株の「発行市場」も活発になります。
新しい会社が次々に生まれれば、それだけ経済は活性化します。つまり、株式市場で活発な株の売買が行なわれていれば、その国の経済も豊かになる可能性が高いのです。
株の流通市場があることで、みんなが利益を追い求めますが、それによって、結果的に国の経済も発展する。これが経済というものなのですね。「経済学の祖」といわれるアダム・スミスは、みんなが自己の利益を追求することで、結果的にその国の経済全体が発展することを「見えざる神の手」と表現しました。これが「市場」というものなのですね。
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