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……牛の学名。「牛のスポンジ状態の脳の病気」ということですね。牛の脳が、まるでスポンジ(海綿)のようにスカスカになってしまい、最後には立てなくなって死んでしまうという病気です。
この病気にかかった牛は、突然狂暴になって人間に突きかかってきたりするものですから、最初に発見されたイギリスで、俗に「狂牛病」(Mad
Cow Disease)と呼ばれていました。
しかし、この名前、どうもイメージが悪いですよね。もちろん、こわい病気なのですから、「名前のイメージが悪い」などと言っていられる問題ではないのですが、特に畜産業界から、「正式な名前で呼んでほしい」という働きかけが各マスコミにあり、正式な呼び方をするようになったのです。
病気が人間に「うつる恐れ」とは?
名前はどうであれ、問題は、「人間にうつる恐れがある」ということです。牛の脳など一部の危険部位を食べたことで、人間も同じような症状になった例があるというイギリス政府の発表によって、大騒ぎになりました。実は人間の世界でも、以前から、「脳がスカスカになって認知症(前は痴呆症と呼ばれましたが、これもイメージが悪いので認知症と呼ばれるようになりました)になって死亡する」という例が報告されていました。この病気は、最初に発見した2人の学者の名前をとって、「クロイツフェルト・ヤコブ病」と呼ばれていました。
この病気は、本来は高齢者だけが発症していたのですが、若者たちが発症するようになったことから、「狂牛病の牛を食べたことによってうつった可能性がある」ということになったのです。
では、「うつる」とは、どういうことでしょうか。私たちは、「病気がうつる」と聞くと、「感染」という文字を頭に描き、細菌かウイルスによって病気になることを考えます。
ところが、この病気は、「うつる」とは言っても、「感染」ではなく、……
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