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伊藤元重さん
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東大に入学。しかし「このままじゃ自分はダメだ」
- 佐々木
でも、急に方向転換した。一人暮らしは、東京で初めてなわけですよね?
- 伊藤
そうですよね。静岡っていう所は、変な町でね。豊かな町なんですよ。うちが豊かっていうんじゃなくて、全般的に。
ですから、例えば私、東大にきてそう思ったんですけど、いわゆる東北地方とか九州とか、東大にくる人っていうのは、例えば村の期待を背負ってとか、学校始まって以来とか、結構いるんですよ。それで、みんな、それなりにやっているんですけど、静岡っていう所は、非常にのんびりした所で、そういうのがなかったんです。気候も非常にいいし。だから、昔から静岡県っていうのは、そんなに大物が出ない(笑)。
ですから、静岡高校って、一応、今はどうか分かりませんけど、当時は静岡県でもトップクラスの高校だったんですけれども、意外と東大とかへ入る人は少ないんですよ。あまり受験勉強をしないものですから、みんな、落ちちゃうんです。こういうことをいうと怒られるんですけど、一浪して慶応や早稲田に入る連中が非常に多くて(笑)。
- 佐々木
先生は、大学に行って勉強しはじめて、どの辺りから経済っていうのが面白くなっていったのですか。
- 伊藤
これは、今考えるとね。そういう静岡みたいな所で非常にのんびりやっていて、私、高校でブラスバンドをやっていたんですよ。受験勉強っていうのは、最後の1年ぐらいか半年、一生懸命やった記憶はあるけど、それまでは、ラッパばかり吹いていてね。
- 佐々木
何の担当だったんですか?
- 伊藤
その時はトロンボーンをやっていましたけどね。ですから、簡単にいうと世間知らずなんですよね。高校の頃、たぶん新聞も読んでいなかったと思うんですよ。テレビを見るとしても、ドラマくらいしか見なくて、あまりニュースも見なかった。だから、東京に来て、まず非常にショックだったのは、みんな、すごいんですよ。みんな、おじさんなんですよ、頭の中が。で、自分は少年だったんですよ(笑)。
例えば同級生に、もう辞めちゃうんですけど、片山知事って鳥取県知事がいるんですよ。
- 佐々木
お会いしたことがあります。ものすごく論理的で優秀な方です。
- 伊藤
彼なんかは、岡山の秀才で、父っちゃん坊っちゃんみたいで、小学校の時にドストエフスキーを読んだっていうような話を聞いたことがあります。ドストエフスキーかトルストイかあまり正確に覚えていませんが。彼だけじゃなくて、いっぱい、そういうのがいてね。
それで、大学に入って、ある種のインフェリオリティー・コンプレックスっていうんですか、「このままじゃ自分はダメだ」というところがあったんですね。純粋だったんですよ。だから、「勉強しなきゃいけない」と。
- 佐々木
劣等感から、やる気を起こした、ということですか。
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