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win-win > 第80回 鷹松 香奈子さん・斉藤 美和さん

バブル崩壊で、教える仕事が始まった
- 鷹松
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同じです。それはちょうど私が30歳のときでしたね。もうピタッと、何も仕事がなくなった。見事でしたよ。「ええっ?」って。先輩のモデルさんが30歳になったときに、「私10年間モデルやってきて、30歳になったお祝いに、自分にごほうびで買ってあげたの」って、キラキラしたダイヤの指輪とか、毛皮のコートとか。そういう先輩たちを見ていたんですよ。
よし、じゃあ私も30歳になったら、自分に何かごほうびを買ってあげなきゃ、と思っていました。ところが30歳を迎えた瞬間に、バタッと仕事がなくなって、ご褒美どころの騒ぎじゃなくなっていました(笑)。
- 佐々木
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確かに、ショーのモデルというのは自分から作り出す仕事というよりも、人からのオファーがないと稼げない仕事ですよね。
- 鷹松
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そうなんですよ。本当に、見事に仕事は減りました。それでも、働かなければお金は入ってこないから、オーディションに受かるために、30歳手前で体型を維持する意味もあって、バレエを始めたんです。そんな時、モデル事務所の新人のレッスンをちょっとみてほしいと頼まれまして。それが私の教えるスタートなんです。後輩たちのウォーキングからメイクから心構えから全部、アドバイスをしましたね。
前から「香奈ちゃんは、教えるのが上手いから、天職だよ。絶対、人に教えたほうがいい」って、何人かから言われていたんです。自分ではそんなことはできないと思っていたので、「私には絶対無理」って反発していました。ところが実際、教え始めてみて、ふと気づいたら、あるとき、楽しくなっていて。
- 佐々木
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それは、何があったんでしょう。
- 鷹松
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それは、教えた子たちが変わっていく姿。きれいになったり。特にモデルを教えていたので、変化の度合いも大きいから、その変化が結果に表れ、「先輩、仕事取れました!」「オーディション受かりました!」という声を聞き始めたときに、あ、もしかしたら教えるのも面白いかもしれないって。それがスタートです。
- 佐々木
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斉藤さんは?
- 斉藤
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私は、子育てしながらも何か働かなきゃいけないと、子どもを保育園に入れて、アルバイトを始めたんですよ。モデルの経験を活かせるのではないかと思い、エステティックサロンに面接にいきましたね。受付とカウンセリングの仕事をしていたのですが、数カ月間研修を受けるんですよ。肌組織の勉強から、電話対応まで。カウンセラーとなると、お客様の相談を受けてアドバイスをしなくてはいけないということで。
でも、まず人前で話をすることが苦手だったんです。舞台で人前に立つことは平気なのに、話となると、何を言ってよいのか分からない。悩んでいたある日、モデルでウォーキングの指導を仕事にしていた先輩に相談したところ、「そんなことないよ、大丈夫。教えようとするから無理なの。伝えるっていう気持ちでお話したらどう?」って。たとえば「このケーキ美味しいの、あなたも食べない?」って、そういう感じでいいじゃない、と言われて、あ、なるほど、私は無理して教えなきゃって思い込んでいたかも。ふっと気持ちが楽になりました。それがきっかけですね。
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