ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第8回 杉田敏さん

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株式会社プラップジャパン 取締役副社長 普楽普公共関係顧問有限公司 CEO
杉田敏さん
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英語の勉強は映画館で
- 佐々木
日本から一歩も出ないうちから、それだけの英語力を身につけられていたんですね。でも、リスニングの力はどのように習得されたのですか?
- 杉田
昔は今みたいにいろいろな教材がないから、映画を観るとか。中学校2年か3年のころ、映画のシナリオが売りに出された。忘れもしないジェームス・ディーンとエリザベス・テイラーが共演している『ジャイアンツ』という映画。そのシナリオ本を買って、大きなオーバーと懐中電灯を持って映画館に行き、その映画を観ながら読んだのを覚えている。
- 佐々木
それは英語が好き、というより、新しいものをひもといていくことへの深い興味なのでしょうか? それとも英語という言語に、興味を持っておられたんでしょうか?
- 杉田
両方だと思うんです。映画にも興味がありました。洋画を観ても何を言ってるのかわからない。そこで、シナリオ本を買って、聞きながら照らし合わせたらわかるだろう、という発想から実践してみたんです。これは当時、「百万人の英語」というラジオの語学番組を担当されていた早稲田大学の五十嵐新次郎先生が、かつてやられた方法だというのです。ところが、耳がついて行かなくてというか、せりふが早くて、今どこのページのシーンなのか全然わからなくなっちゃうんですね(笑)。
- 佐々木
何回くらい映画をご覧になったんですか? まさか、2回ぐらいでわかったとか?(笑)
- 杉田
いえ、オーバーから懐中電灯の光が漏れて、「やめてくれ」と隣の人から言われてやめちゃったんです(笑)。
- 佐々木
本当に、関心してしまいます。今の中学2年生には、そこまで英語の勉強熱心の人はいないのではないか、と心配してしまいます(笑)。
- 杉田
だけどね、高円宮杯全日本中学校英語弁論大会の審査員をもう20年近く、毎年やっているんですが、最近の中学生の英語力のレベルが高いのには、驚きますよ。その大会に数年前に出場した名古屋の附属中学校の女子生徒なんですが、ずば抜けて上手なんですよ。わたしを含めて7人の審査員のうち6人が最高点を付けました。こういうことってあまりありませんが、今の中学生も上手な人は、すごいんですよ。毎年レベルは高くなっていますね。ただ練習をしてうまくしゃべっているのではなく、ものすごく自然なのです。発音もエロキューションもいい。この人は朝から晩まで英語をしゃべってるんじゃないかと思うぐらい。ものすごく自然に英語をしゃべる中学生が多くなってきたんですよ。
- 佐々木
それはどうしてなんでしょう。たしかに最近は中学校にもネイティブの先生が必ずいるようになっていますよね。その先生たちに聞いても、今の中学生や高校生は外国人にでも全然恐れをなさず、好き勝手に話しに来て結構楽しくやっているよ、ということですが。でも一方で日本人の英語力が全体的に上がっているというデータはあまり新聞では見ませんね。
- 杉田
そうですね、どうしてなんでしょうね。わたしも40数年前の中学生のころ、同じ大会に出たんですが、昔はそういう人はいなかったですね。ここ10年ぐらい、本当に上手な中学生が増えてきた。
- 佐々木
それはやっぱり、今は、耳で聞く機会が多いからでしょうか?
- 杉田
そうですね。帰国子女もいるし、そこに出場するような人たちの、多分半分くらいは外国に行ったことがあるだろうし、そういうふうにしていろんな刺激を受けている、という点で昔と違うんじゃないかと思います。
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