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野口 健さん
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映したがらないシェルパの存在
- 佐々木
それにしても、シェルパっていうのは、本当にすごい人たちですね。
- 野口
そうなんですよ。でも、テレビはあまりシェルパを映したがらないんですよ。たとえば、「野口健の番組を作る」となると、野口健がエベレストに登る感動的なものを、彼らは作りたいわけですよね。そのとき、シェルパが、僕の荷物をなんでも運んでるっていうのが映っちゃうと、「なんだよ、野口健」ってなるわけじゃないですか。
- 佐々木
一緒に行ってもらってるし、荷物だって持ってもらったりしてるじゃないかと。
- 野口
「おまえよりシェルパの方がすごいよ」となる。そもそもシェルパの方がすごいんですからね。だからテレビからすると、シェルパはそんなに映したくないんです。登山隊側も出したくないわけですよ。俺が登ったんだ、って言いたいわけですよね。
- 佐々木
ストーリーとしてね。
- 野口
シェルパの存在っていうものが完全な裏方になるので、扱い方も同時に出せないんです。たとえば、隊長が悪天候の中、シェルパに「行け」って言って、シェルパが死んだとしても、隊長は社会的な責任はなんら取らされませんよ。毎年、シェルパがいっぱい死んでます。誰も知らない所で死んでいくわけです。補償は何もないしね。それで、僕は「シェルパ基金」っていうのを何年も前に作ったんです。
- 佐々木
大切な心だと思います。そういった山にかかわる人への思いと、山をきれいにしたいという思いは共通かもしれませんが、「清掃登山」についてもお話しいただけますか? 山の上のゴミについても、野口さんが初めて大きな活動にされましたよね。
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