ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第52回 和田裕美さん

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和田裕美さん
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小説のセリフで、営業の練習
- 佐々木
和田さんが最近感動した本とか、行って刺激を受けた場所とかってあります?
- 和田
小説ばかり読んでます。石田衣良さんの『娼年』。あれ、大好きです。まるでビジネス系じゃないんですけど。
- 佐々木
衣良さんね。のほほんとしていて、鋭いコメント。いいですよねえ。
- 和田
お会いになりました?
- 佐々木
ええ。私、番組でご一緒することが何回かあって。
- 和田
いいな。私、ファンなんです。その売れっ子の「娼年」、娼婦の「娼」ですけど、20代の女性とも60代の女性とも付き合うんです。ものすごくポジティブな、その人のいいところを表現する言葉しか言わないんですね。
人間の気持ちがよくわかるし相手を幸せにするセリフがあるんです。だから営業マンはこれを読んだらいいのに、って。そうやって違う角度から物事を発見するのがすごく好きです。人の死を対象にしたものには感動しないんですね。そうではなく、挫折があった人がそれを乗り越えて頑張って生きていったりするのに感動します。
- 佐々木
小説を読んでいるのね。
- 和田
そうです。トークに惚れるっていうか。乃南アサさんの『結婚詐欺師』っていう本があるんですが、あのトークにも惚れますね。
男が詐欺をしてるんですよ、50、60歳くらいの女性に。お金を引き出すんですけど、その女性が「連絡をくれない」って、しょっちゅうポケベルに電話してきて、うるさいんです。それで連絡もせずに車でその人の家に行って、「君は、僕がこんなに君のことを想って一生懸命に仕事をしているのがわからないのか」、「君には僕の想いがわからないのか」って言った瞬間、それまで怒っていた女が跪いて「ごめんなさい」って言うんです。
女の心理が……、男の人がこの小説を読んだら、かなり女を口説けるようになるなって、私は営業マンにこの小説を読ませてるんです(笑)。その刺激っていうものが、ビジネス書とか普通のものじゃなくて、人間ドラマの中に、こういう言い方をしたら人が動くんだって。
それがいろんな場面で入っていて、その場面に気づいたときに、「これ、すごい」って思います。それが私の感動で、小説を片っ端から読むんですよ。セリフを抜き出して学んでます。それが私のエッセンスというか、感動の積み重ね。最近読んだおすすめは、その2冊です。
- 佐々木
おもしろいですね。売れる営業マンは石でも売れるっていいますけど、そういうことなんですよね。モノに思いがなければ、もちろん最終的には売れないけど、でもそれが何であっても、相手を感動させたり、相手がホロリとするようなセリフがね。でも、そんなところからセリフを活用するんだ。
- 和田
だから、そういう言葉に敏感なんだと思います。ホロッとくる言葉とか、人を動かす言葉とか。石は、だましてますよね。私がわりばしを100万で売ったら、詐欺師です。でも、それなりに価値があるもので、たとえば、「どうしようかな」って思ってた人がそれを持った瞬間にワクワクすることをイメージできるような話し方ってありますから。ワクワクさせてあげるって、すごく大切なことだと思います。
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