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同時通訳者・環境ジャーナリスト・セルフマネジメントコーチ
枝廣淳子さん
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環境の家計簿をつけて、違いを見よう
佐々木
そういったことを考え、日常で何かができないかと思って、今、イー・ウーマンでは「環境家計簿」という活動を続けています。松下電器さんが社員向けに行っていたのが面白いなと思ったので、許可、ご協力をいただいて。
大人向けの「環境家計簿」と、イー・ウーマンオリジナルの子ども向けの「こども かんきょう えにっき」があるんです。それぞれ、飲み終わったペットボトルの本数やゴミの量を記録すると、即座に二酸化炭素の排出量を換算して集計をグラフにできるようになっているんです。先ほどの「フィードバックの遅れ」というのがないように試みてる。
「こども」のほうは、写真で日記もつけられるようにもしたので、ペットボトルをリサイクルしてる場面なんかの写真を撮ってプリントして、夏休みの宿題に学校に提出した、というような報告も届いてるんですよ。みんな、なかなかやるなあって。
枝廣
すばらしいですね。子どもの教育ってね、実地体験を通して地球とのつながりを実感してこそ「きれいにしておきたい」という心が育つんですよね。実感がないところで、いくら「ゴミを集めましょう」と言っても、それは形だけになって活動は止まってしまうので。今ね、都会の中ではなかなか味わえないことというのも多いので、sense of wonderの機会をできるだけ味わえる場を作ることが大切だと思います。
だから、「環境家計簿」や「こども かんきょう えにっき」でとても面白いと思っているのが、たとえば最初の一カ月、家計簿を活用してどんな活動をしていくかを、家族や子どもが中心になって考える。1カ月間みんなでやってみた結果、二酸化炭素の排出量が減ったかどうかを見て、次の1カ月はどうしようと考えて実行する。
これは、まさに「マネジメントサイクル」なんですね。計画を立てて(Plan)、実行し、(Do)、進捗や成果を評価して(Check)、次のやり方を考え、実行する(Act)。PDCAサイクルを子どものときから体験することは後の人生にすごく役立つと思います。
佐々木
そうですね、何にでも役立ちますね。今、学校の授業などで使ってもらおうと、小学校などにもアプローチしているんです。夏休みに使っていただいた方から好評だったので、延長し、少しずつ改良しながら続けていこうと思います。
枝廣
いいですね。わたしが関わっている、環境に関心のある人たち7000人くらいのネットワークがあって、お子さんをお持ちの親御さんもたくさんいらっしゃるので、そこでご紹介させていただきますね。
それと、次のバージョンを作られるなら、実はご提案があるんです。二酸化炭素の排出量が数字で出るのはいいのですが、数字って大人でもピンとこないと思うんですね。ですが、たとえば削減した二酸化炭素を自然界で木が吸収するためには何本の木が必要か、というのは子どもでもわかるんです。何メートルの杉の木1本が1年間に吸収できる二酸化炭素の量を、ちゃんと数値を出すとともに、木の絵かなにかを表示して「君が削減した二酸化炭素は、自然界で言うと杉の木何本分くらいだよ」と言ってあげると、もう少し実感に近くなると思うんですね。
佐々木
それ、いいですね! 今自分が行動を起こさなかったら、自然の木がこれだけ長い間吸収しなくちゃいけなかった。それを助けたんだ、という視覚的な実感ですね。すごくいい。早速、いただきます(笑)。
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