出発前、佐々木に言われた大切なこと

佐々木

思い出してきました。香港には、4年くらい行ってらしたんでしたっけ？

山口

そう4年。行く前に、覚えてます？　佐々木さんが言ったこと。

佐々木

えっ？　わたし、なんか言いました？

山口

確か、わたしがこう言ったのよ、「香港行ったら、英語くらい使えるようになって帰ってくるわ」って。そしたら、佐々木さんは言いました、「あなたね、英語ぐらいって、ばかにしないでくれる？　英語が通じる国にちょっと行ったからって、仕事で英語が使えるようにはならない！」。

佐々木

……(苦笑)。

山口

もう忘れてたでしょう？　その後も聞いて。その先がイイのよ！

佐々木

……全然、覚えてない。

山口

無責任ねえ。人の一生を左右することを言っておいて。「あなたはね、英語じゃなくて、あなたの仕事に大事な日本語をさび付かせないで帰ってきてちょうだい」って言ったのよ！

佐々木

すばらしいっ！　すばらしいこと、言ってるじゃないですか（笑）。

山口

そうよ。だからわたしは、いまだに英語ができないのよ（笑）。

佐々木

（笑）。それは、申し訳ないことをしました。

山口

いえいえ、本当にいいことを言っていただいて。やっぱり、先に明かりを見つけて海外に行けたっていうのは良かった。ただね、行ってからは暗かったんだー、実は。