ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第32回 北澤きよみさん

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フィオレッラ・デル・コンテ(メッゾ・ソプラノ、コントラルト)
北澤きよみさん
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望めば与えられる、それがイタリア
- 佐々木
イタリアのどんなところが好きですか?
- 北澤
各人の個性を認めてくれるし、誰でも望めばできるっていうところ。なぜかっていうと、自分がイタリアに行きたいと思ったから行った。勉強したいと願ったから、それが与えられたんです。だから望めば与えられる。「叩けば開く」じゃないですけど、熱意のある人間には必ずそれが訪れます。
とにかくそれを続けることです。継続することに意味があり、あきらめちゃいけないっていうね。
- 佐々木
そうよね。継続は力なり。
- 北澤
わたしは歌を歌うだけの時代は終わりましたが、コンサートは続けています。またアレーナ・ディ・ヴェローナのように呼び出されたらいつでも準備できています。それなりの勉強は積み重ねてきたし、それは自分の倉庫の引き出しの中にしまってあるので、いつでもOK! そうすると歌に関していろんな出会いがあり、その中でどんどん発展していくんですね。
昔は歌だけを考えてほかのことは切り捨ててきました。八方美人になってしまうと気がそっちに散ってしまいますから、日本人の婚約者もね。
- 佐々木
え? 19歳のときのイタリア、というのは、婚約者を捨てて行ったんだ。
- 北澤
そうです。でもその時は、彼を友だちに紹介して、そっちと結婚をしたから良かった。友だち同士が幸せになればわたしは満足。わたしはやりたいことがほかにあるから。だから一つ失えば一つ入ってくるんです。出さないと、入ってこないでしょう?
それとイタリアの文化や伝統の深さ。歴史というか、しきたりというか。イタリアオペラには歌い方に決まりがあって、ヴェルディの歌い方はこう終わる。プッチーニはこう終わる。表現が全然違うんです。それを誰が決めたのかはわからないんですけど、古くから言い伝えられているやり方なんですよね。こうでなければならないという条件があって、それはもう外国人だろうが、足並みをそろえていかなければならない。
- 佐々木
ああ、先日テレビで、イタリアにはピザ作りのルールが法律で定められている、と言っていました。生地の厚さは何ミリ以内じゃないといけないなどと決まっているって。
- 北澤
そういう「こだわり」がありますね。パスタもそうですよ。イタリア語では「ラ・コーザ・ノストーラ(=わたしたちのやり方)」というのがあるんです。それがおもしろいんですよ。また地方によっても違うんです。食べ物も、おいしい地方ワインもね。いろいろな土地の産物がありますでしょ。
- 佐々木
どの国にも、地域の特徴はありますが、法律って言ってたからびっくりしました。それにしてもお話しているうちにイタリアに行きたくなっちゃった(笑)。
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