ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第31回 藤巻幸夫さん

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藤巻幸夫さん
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毎日がドラマ
- 藤巻
僕はドラマをつくりたいの、毎日。一日一日がきちっとしたドラマで、それを延長するために酒場があるし、酒場と家の間に何かがあったっていいし。そこから品とか情景とか情が湧いてくる気がします。
最近殺風景ですよ。いろんなものが風景を殺していますよ。そういう面では、僕、美意識とか審美眼というのはとっても好きな言葉ですよね。今の日本人は、何でも壊し過ぎですよ。審美眼がなさ過ぎる。そろそろ欧米化をやめて、日本的なものをつくらないと。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読んだことあります? いいですよ。これ、泣ける。たかが40ページくらいだけど、日本の文化ってこういうことだよねっていうのが谷崎の一番の究極的な文化だと思う。今でも暇があるときはそればかり浮かぶの。
日本ってこういうことなんだよな、っていうのが書いてある。あとは安岡正篤(まさひろ)さんの論語に関する本ね。これはいいっすよ。そういうのを枕元に置いて。
だから自分のファッションはどうでもいい。Tシャツとジーパンでいいし、たまたまこの仕事を通じて何かの空気を残したかった。だからファッションはブランドをいくつも売場に入れたし、バーニーズをつくったし、それはそうそうたることだけど、根は寅さんなんだし、寅さんのいいところって言ったら、心を残していくでしょ。あれがいいなと思って。
- 佐々木
それが「スタイル」なんですよね。
- 藤巻
30年くらいかけて僕のスタイルになっちゃったから。
- 佐々木
あと何年かすると、今の仕事を卒業して高校の校長先生になったりして。
- 藤巻
そうかもしれないね。今44歳だから一つ目が50歳だとして6年。あとは自分の後継者。こいつだったら自分の後を任せられるってやつが育てられたり、現れたりしたら潔く譲る。本当に悩まずに譲るだろうな。それまでにこの福助っていう会社を、ブランドを、世界に輝くものにしますよ。絶対にできるっていう信念でやっているから、今は、「ええ福助が?」ってところから「なんかエルメス的だよね」ってところまで持っていこうと思っている。
- 佐々木
福助が世界のブランドになること、楽しみにしてます。
- 藤巻
どんどんイー・ウーマンに出るからね。また会おうね。
- 佐々木
こちらこそ、楽しみにしています。ありがとうございました。
対談を終えて
エネルギーのかたまり。それが藤巻さん。いつも嵐のような勢いの中お会いしてますね。さまざまな出来事の中、目の前にあるものを愛し、情熱だけに集中して仕事をしているのが魅力的です。対談直後に「携帯電話教えて!」と言われたのは初めてでしたが(笑)、楽しみにしているので、本当にゴハン食べに行きましょう。
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