ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第29回 假屋崎 省吾さん

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假屋崎 省吾さん
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母からの教え
- 佐々木
先生のしてらっしゃること、その指針を感じ取ると、まさに「礼を尽くす」というのが、キーワードだと思うんです。周りの方へも、生徒さんへも、そしてお花にも、ご自分自身にも。それはお母さまの教えですか?
- 假屋崎
そうですね。やはり母はとっても優しい人で、いろんな人から慕われていて、頼まれると断れない人でした。でもトラブルは一回もないんですよね。よくほら、借金とか、人と接しているとトラブルとか起こったりしますけれど、そういうことは本当に縁がなかったですね。
だから言ってみると「いい人」だったんですよ。幼稚園の劇で『舌切り雀』をやると、うちの母親が満場一致で、いいおばあちゃん役をやらされたくらいですから。もう耐えて耐えて耐えて、の人ですよ。『細腕繁盛記』の新珠三千代さんみたいな。
- 佐々木
うちの母もそうかもしれない(笑)。それで、先生はそのお母さまから、人に尽くすことを教えられた?
- 假屋崎
口では教わらなかったんですけれど、自分で見て学んだんですね。「これはこういうふうにしなくてはいけないんですよ」とは言われたことがないの。本当は言われたかもしれないけれど、全部忘れちゃっているんです。
でも、こういうときは、こういうふうにしなくてはいけないな、っていうことに自分で気付くわけですよ。自分で勉強する人でした。だから受験勉強とか、全部嫌いだったんですよ。いつまでたっても駄目なの。いつも「サクラチル」しか来ないの。
- 佐々木
そんなあ。私は受験勉強すらしなかったから、先生、すばらしいですよ。それに、見て学ぶとか、花を生かすって、すばらしい。花を生かす人とか殺す人っているじゃないですか。うちの母は花が好きで、枯れた花をもらってきて。母が一カ月育てると花や緑いっぱいになるんです。
- 假屋崎
えーっ。すごい方ですね。
- 佐々木
花がしおれていても、枯れていても全然気にならない人がいますけど、私は気になってしまうんです。私は母から、気付くことと感謝することを、教えてもらった気がします。
- 假屋崎
不思議ですね。気にならない方は、何から何まで自分のやることだけしか見えないんですよね? それ以外のものが全部見えた上で、そのうちの自分のやっているところは、ここ、っていうふうに把握しないとね。辺りを見回しただけで、すべてがパッとわかるっていう人でないと、なかなか難しいんだと思うんですよ。
花が枯れるっていうのは、別に手をかけすぎるから枯れるわけじゃないですよね? 水をあげてなかったり、愛情が足りないわけです。それと優しさ。人への優しさとか植物への優しさとか。
自分だけかわいがっていても駄目なわけですよね。周りを気遣うという気持ちがそういう方には足りないんでしょうね。
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