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防災・危機管理ジャーナリスト、まちづくり計画研究所所長
渡辺実さん
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どの災害の避難所か当ててみてください
- 渡辺
「自助・共助・公助」という、あの言葉は、僕は大嫌いなんですね。我々はタックスペイヤー(納税者)なんですから、当然、あるところまで「公助」を期待しますよ。もちろん、あの震災を経験しましたからすべてができるとは思いませんけれども。しかし「自助・共助・公助」という間を中ポチでつないで、同じ価値観で並べるっていうのはおかしい。
言葉は悪いですけれども、我々は、税金を払って、命を守るために専門の部隊である消防や自衛隊や警察を雇っている。新潟中越地震(2004年)でハイパーレスキューが優太君を救いましたけれども、災害や事故の時に人名を救うために、僕らは税金を払って彼らに訓練をさせ、あるいは資機材を持たせている。そういう関係であるということをしっかり踏まえないといけないでしょう。
「自助・共助・公助」って同じレベルで並べられて、「被災したら個人で自立しなさい、地域で助け合いなさい」みたいな理屈を国や行政がいうのには、僕は今も納得できていないんです。
- 佐々木
つまり、国や自治体は国民に求める前に、もっと高いレベルになっていく必要があるということですね。
- 渡辺
災害のたびに同じことを繰り返しているわけですからね。たとえば一番いい例が、1995年阪神のときと、2007年新潟中越と、三つぐらいの避難所で撮ってきた写真を並べてみるんですね。それで、「どの災害の避難所か当ててみてください」って言うんですけど、まず当てられないんです。それは、その場面を知らないということもあるんだけれども、何が言いたいかというと、避難所の写真がまったく同じなんですよ。
- 佐々木
避難所の環境が向上していない、ということですか?
- 渡辺
体育館で、布団で、すごい密度で、みたいな……。ということは、被災者がすぐに体験しなければならない避難所の環境というものが、一つも改善されていない。素人にも分かる表現でしょう。
- 佐々木
改善をするというのは、たとえば、どういう改善がありえるとお考えですか?
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