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伊勢崎賢治さん
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紛争の予防業界を作ろう
- 佐々木
何ですか?
- 伊勢崎
それは早期警戒です。
- 佐々木
早期警戒?
- 伊勢崎
火の用心とかね。必ず火種があるわけですよね、そういうときには日本のピンポイント的な国際援助が役に立つだろうし、それをただするんじゃなくて、ちゃんとした政策提言をしながら。内政干渉をやってもいいかもしれないね。ちゃんと届くようにね。
民主化っていう言葉はあまり好きじゃないですけど、反政府勢力を民主化にするように、それからフリーなジャーナリズムを推進すること、それから多数政党民主主義をプロモーションすることは非常に大事ですし、いろんなやり方がありますでしょう。だからやることは大体分かっているんです。問題は、それが業界にならないんですよね。
- 佐々木
予防には、なかなかお金もついてこない。
- 伊勢崎
そうです。業界にならない限り、いくら能書きを垂れても、やることが分かっていても、意味がないんです。その中で人が食えなきゃ意味がないんです。
- 佐々木
そうですね。ボランティアが嫌い、ボランティアはやらないと仰っていることと通じるわけですね。結局、ボランティア精神はいいけれども、ボランティアで一生食べていかれないから。
- 伊勢崎
いいことをやっている人間がちゃんと食えないと、世界は変わらないですよ。
- 佐々木
まったく同感です。僭越ですけど、イー・ウーマンを株式会社にしているのも、そういうことなんです。そんなものはNPOでやればいいじゃないかって、ずっと前から言われているんですけど、それをボランティアでやったり、NPOでやり続けたら社会が変わらないので、株式会社にしたんです。
イー・ウーマンの活動が儲かって、社員もちゃんと給料がもらえて、大きくなったときには、私たちが求めている社会の価値観なり、人の形だったり、考えや思考に多様性が加わるだろうと。今の既存の経済界がそれに私たちが提案することに価値を見出してお金を払ったという証が、私達の存在を証明しますよね。なので、それに向かっているんです。
- 伊勢崎
すごくいいことだと思います。もちろん、担当の小林さんからも同じ話を聞いてますよ。それで今、インターネットで、いかにして紛争予防を業界にするかっていうので、ある心ある政治家とグループを作っているんですが「イー・ウーマン的なものは、絶対に我々にとって役に立つから、ノウハウを盗みたい」って思ってました。
- 佐々木
一緒に協力して、社会をあっちこっちから突っついて、動かしていけたら光栄です。でも紛争で儲かっている伊勢崎さんが予防に走るということは、紛争は少なくなってきているのかな。紛争業界のマーケットが小さくなってきているのは、いいことなのかな、と思ったりしたんですけど、そんなことはないですか?
- 伊勢崎
だから今日は、少しまともな格好をしているでしょ。実は今日は、アフガンの大使と、デンマークの大使と会ってきたんです。デンマークは小さな国ですけど、アフガンで非常に激戦地に兵を出している。今、僕は、アメリカの政権も変わっちゃって、日本の政権も変わりつつある現状で、アフガニスタンに対して、新しいイニシアティブを模索しています。今の対テロ戦の敗因を作ったのは、僕もその一人ですよね。武装解除をしちゃって、北部同盟という、タリバンに対する抑止力をなくしちゃったから。
だから、火消しの部分は、まだやるんです。でもその一方で、大学の教員という立場を利用して、紛争予防の業界を作ろうという試みをしております。でもはっきり言って、まだ暗中模索の状態です。少なくとも、アントレプレナー的な人がいっぱい寄せ集まって、特に若い人達が何かをし始めてくれる、きっかけを作りたいっていうことで、今、目をつけているのが広告業界、クリエーターの世界なんですよね。
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