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馬越恵美子さん
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通訳って、普通の仕事だと思ったほうがいい
- 佐々木
イー・ウーマンのほかに、私、ユニカルインターナショナルという会社もあるのです。そこでは、70言語の通訳者、翻訳者の方々が登録してくださっています。日々応募もあります。通訳者になるための、または、プロの通訳者の心得みたいなものはありますか?
- 馬越
通訳って、普通の仕事だと思ったほうがいいと思うんです。華やかではなく、
one of them 数ある仕事の一つですから、普通の仕事。自由業で、プロフェッショナルな仕事。知的水商売っていう話もあるけど、それはちょっと言い過ぎなんです。すごくいろんなことに好奇心を持って、パッパッとやっていく。自分で自分を管理できる人ですよね。
人間関係も単発なので、ある意味では楽ではあるけれども、誰も自分を守ってくれないから、自分で守らないといけない。組織が守ってくれないということと、組織の苦労を知らないので、一匹狼になる。だから、自分を律することができる人ですよね。
あと、決して華やかではない、というふうに思っていたほうがいい。それに、自分が話しているのではない、人が言っていることを、あくまでも通訳しているっていう謙虚な姿勢ですよね。
- 佐々木
でも、通訳者が、これを売るなら売るっていう気持ちにならなかったら、通訳できないですよね。
- 馬越
ええ。でも、その人じゃないんです。言葉ですから、自分ではない。だから、首相の通訳をするからといって、首相ではない。これは意外に勘違いしちゃうんですよ。自分が乗り移って熱弁を振るっちゃいけないんです。そういう方もいらっしゃいますが、それはちょっと違いますね。とにかく忠実に。もう、透明ですよ。本当は「今日は通訳がいなかった」っていう感じがいいんです。「あれ? 実は、あったのかな?」みたいなものだと思うんです。
- 佐々木
気がつかないぐらいのね。
- 馬越
私が通訳を辞めたのは、それが、気がつかれちゃったからなんです。透明ではなくなった。誰が通訳してたの? と聞かれるようになった。そういうのは、私、いけないと思います。それから、自分の意見を言いたくなった。これもダメですね。だから、やめたんです。
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