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鈴木 淳子さん
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生活が安定するということが重要だと思うんです
- 佐々木
ところで、みんながこんなことを認知してくれたら、もっといいのにということはありますか。
- 鈴木
日本ってアメリカの10年、20年後を追っていると言われていて、虐待の数も後から増えてきたりするじゃないですか。アメリカは虐待の件数が一時期うなぎのぼりで増えていったようなんだけれど、80年代ぐらいから、件数での増加はおさまったそうなんですね。それは罪が重くなったからだという人もいますけれども、景気のせいじゃないか言っている人もいます。
- 佐々木
経済的な余裕、ということですか。
- 鈴木
それもあります。やっぱり安定した社会というか、「ちゃんと地道にマジメに誠実に働いていれば、将来も食べられるし、死ぬまで安心して過ごせる」みたいな、そういう基本的な安心感がとっても大事だろうと思うんです。
働きたくても働く場がなくて、若いお父さんお母さんが、不安定で賃金の安い派遣社員だったり、職を転々としていたりするけれども、いつクビになるかと思うとすごく不安でしょう?社会人の1年生2年生っていったら、まだ先輩見ながら背伸びしてがんばって、失敗しながら育てていってもらう時なのに、正社員になれないということは失敗も許されない。失敗したらもうあなたは要りませんって切られてしまう。失敗しなくても、その人がどんな人でどんな仕事をしているか、どんな事情があってどんな思いで仕事をしているか、なんて関係なく頭数で切られてしまう。どこにも抱えてもらえないというか、所属感がないというか、そして転々としている。将来の展望が持てないじゃないですか。自分の実力で切り開いていくという力のある人、チャレンジし続けていくことができる人ばかりじゃない。多くの人にとっては、やっぱり生活が安定するということが重要だと思うんです。
- 佐々木
でも、報道を見ていると、お金を持っている家庭でも、モンスターペアレンツと呼ばれる人もいるようだし。一概に経済面だけとは思えないんですけれど、経済的な不安感が一番大きいんですか。
- 鈴木
いえ、一番大きいのは経済的な不安より、やっぱり関係性の不安定さだと思います。一見社会的、経済的に恵まれているように見えても、何の問題もなく幸せに暮らしているように見えても、孤独感を訴えるお母さんも多いですよね。なかなか、悩みを人に話せない。その人本人が子どものころに親から駄目だ、駄目だって言われているから、また駄目だって言われちゃうんじゃないかって恐れてしまうこともあると思います。失敗が怖いし、一度失敗したらもう終わりって、極端に考えてしまいがちです。やさしくない世の中、こわいです。映画の「ペイ・フォワード」ほどでなくても、周りの人に少し優しくなる、思いやりをもって、一歩踏み出して行動するような世の中になったら素敵。でも自分もあまりできてないですけど。でもそんなことを、多くの人たちが考えてくれるといいと思います。
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