ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第122回 鈴木 淳子さん

122 |
鈴木 淳子さん
|
|
|
虐待の一報が入ると
- 佐々木
私はこのニュースを見た時、過去最高ということに驚いたのではなく、この先に、山ほどの子どもたちが隔離してもらえずに苦しんでいるような気がしてしまったんです。
- 鈴木
全国的に違いがあるかとは思うけれど、たとえば、虐待の一報が入ると、児童相談所は、びっくりするほど素早く、考えられる限りの詳細な調査をするんですよ。
それで情報を集めて、できるだけ広い角度から慎重に検討する。関わっている地域の保健師や、民生児童委員、小中学校、幼稚園、保育園などから情報を集めるんです。
例えば、アザがあるという通報があると48時間以内に目視確認に行く。相談員が直接じゃなくても、地域がかかわっているとしたら、そこの保健師さんにすぐに行ってもらうよう依頼したりとか。
- 佐々木
通報があったら、とにかく48時間以内に目視確認がある。でも、48時間って、意外と長い。でも緊急のときは、警察ですものね。
- 鈴木
児童相談所の運営指針では48時間以内にといわれていますが、実際はもっと早く行きますよね。アザがあれば、保育園で子どもを見て、担任の先生に聞いてきたりということもあるし。そういう中で、今までにアザが何回かあったとか、身体のどこの場所か、その重症度や部位からわかる危険性とか、そういう時お母さんはどう対処したのか、どう思っているのか、子育てに悩んでいるのではないか、子どもの発達や性格のことを心配して保育園の先生や誰かにに相談したことがあるのかとか。そういう情報をもとに、ある程度、仮説を立てますよね。そこで、どんなネットワークが作れるのかを考える。
だから虐待があるとか、ないとか、虐待があるから分離するとかというのではないんですね。虐待という状況は、行き詰まってしまって困っている親としてのSOSなわけだから、どういう支援が組み立てられるかを考えます。だからアザがあったとしても、それが段々減っていきそうだというんだったら、まず支援していく。でも悪化したら、すぐに保護します。
頑なに閉ざしてしまう、接触できなくなるのがこわいですね。ちょっと手を伸ばしてみてよかった、または差し出された手をつかんでよかった、少し楽になったと思ってもらえるように。本来自分の持っている力が発揮できるようになってほしい、と思うので、早めに介入しています。
子どもはね、大体、自分が悪いことをするから、こういうことをされるって思うわけだけれど、子どもはいろいろ失敗をしたりするでしょう。当たり前なんだよね。だから「ちょっとね、怒り方が違うと思うよ」と話していきます。そして子どもから「家に帰りたくない」というSOSがあれば、保護してそこからがスタートです。
- 佐々木
でもそれは小さい子だったら、やっぱり親元を選ぶ子もいるでしょう。
5/25
|
 |
|
|