ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第122回 鈴木 淳子さん

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鈴木 淳子さん
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ああ、こういう仕事がしたいな
- 鈴木
そこの自閉症児のキャンプに行くと、一人の子どもの担当になって、その子とずっといっしょに過ごすんです。事前に1回は会ったけれど、ほとんどいきなり「初めまして、今日から2泊キャンプに行きます」って、2泊のキャンプで一緒にべったり過ごすんです。私が担当した子は自閉症で、知的にもかなり重い障害を持っていて。言葉もね、ちゃんとやりとりするコミュニケーションの言葉を持っていなかったんです。「あぁ」とか「うぅ」とかになって、場面が変わるたびにしゃがみ込んじゃうような子だったんです。
小学校低学年の男の子だったんだけど。その子にどういうふうに接したらいいのか分からないんだけど、一緒にご飯を食べたり、寝かしたりとか、山登りとかして、そういうのをやるんだけども。どうやってコンタクトをつけようかなって、一生懸命、四苦八苦しながらやってました。
知ってるか知らないか、好きかどうかわからないけれどもいろんな歌を歌ってあげているうちに、顔を見ていると「あ、この歌が好きなんだ」ってわかるときがあって。リズムを一緒に取ったりして、「この歌を歌うと落ち着くじゃん」とかって、いくつか見つけたりして、そうやって付き合いながら発見していくみたいな。「こうすると、こうやって通じるんだ」って。
- 佐々木
2泊3日でも、そんなにいろいろなことが分かってくるんですね。
- 鈴木
いろいろなことは分からないですよ。「この歌が好きなんだ」くらいです。でもそこから、場面が変わるときに不安になるのかな、歌を歌ってみようかな、とか。手をつなぐのも、こっちから引っ張らずに、つかまってくるのを待ってたり。歩くテンポや食べるテンポを合わせたり。一緒に寝るときには、呼吸も合わせてみましたよ。
- 佐々木
それが大学生の時の体験。
- 鈴木
大学3年のときですね。それで障害児関係の仕事をしてきたいなって思って。それで大学のころって怖いもの知らずだから、何のつてもないのに、あちこちに電話して児童相談所も見学させてくださいって言ったんです。今だったら、いきなり「見学させてください」といっても、「はい、どうぞ」なんて言えませんけど、昔だから「障害児に興味があって」って言ったら、たまたまグループ指導をやっていて、そこに入れさせてもらって。そこで何回か参加させてもらっているうちに、「ああ、こういう仕事がしたいな」って思って、児童相談所でこういう仕事をするには、どうやったらいいんですかって聞きました。
- 佐々木
じゃあ、大学を出てすぐに児童相談所の仕事についたんですか。資格とか?
- 鈴木
資格とかじゃなくて、公務員試験です。それで公務員試験って自治体によって全然違うんですけど、事務職と専門職に分けて試験をしているところがあって、私は専門職の社会福祉系の専門で入りました。でもそうはいっても、社会福祉系だけでも職場がすごく広いので、どこに配属されるか全然分からなかったんです。
10/25
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