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田澤 由利さん
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毎日、1日1企画、ファックスで
- 田澤
そうです。で、とりあえず電話をして、「こういう者で」って言うと、「企画書か何か、出してもらえますか?」って。それは、今思えば、社交辞令というものだと。でも、探していらっしゃったのは本当なので、面白い企画があったら、きっと興味を持ってくれるだろうと思って、それから毎日、1日1企画、ファックスで「こんな記事、いかがですか?」「こんな特集、いかがですか?」と出し続けていたんですよね。
そうしたら、時々、「いや、ちょっと、これは無理かな」みたいな感じで。でも、反応してくれる唯一の人だったんですよ。だから、頑張ればいけるんじゃないかと思っていました。でも、妊婦だというのに、そんなことばかりしているから、お腹が張ってきて、「切迫早産の気配があるので入院しなさい」って言われて、出産する1ヵ月ちょっと前ぐらいですかね、入院しちゃったんですよ。
せっかく頑張って営業して、もうちょっとでつながるのに、これはまずい、と。当然、最初の記事というか、本はもう創刊するわけですから、早く採用されないといけないじゃないですか。
携帯電話がない時代。小さい産婦人科でしたが、個室のベッドの横に電話があったんですね。で、たぶん「生まれたよ」とか言うための電話だったと思うんですけど、一応、一室一室に電話番号がついていたんです。その番号を、その編集長にお伝えして、「番号が変わりました。何かあれば、こちらにご連絡ください」って。そうしたら、案の定、ベッドの中にいた時に電話がかかってきて、「田澤さん、この間の企画、やることになりました。連載、お願いします」って。「やった!」みたいな。
- 佐々木
早く産まなきゃ、って。
- 田澤
そうなんですよ。その後、ベッドの上で本当に跳んで喜んだんです。で、一旦退院して、第1回目の原稿を書いて、それから出産のためにまた入院して、退院して、第2回目の原稿を書いてっていうのが、私のライターとしてのスタートだったんですね。だから、運もよかったけれども、諦めなかったっていうのも、たぶんよかった。
- 佐々木
それはすごく重要ですよね、行動的に動く。
- 田澤
普通だったら、やらないですよね。
- 佐々木
いや、私は、自分の初めの仕事って、高校1年生ですが、電話帳をめくって上から順番に電話していったりして、見つけたんです。そこで9年間も働きました。
- 田澤
やっぱり、それですよね。
- 佐々木
やっぱり似てると思います。タイプが似てると思いました、今。
- 田澤
きっと、楽天家なんですよ。「もしかしたら、何とかなるかもしれない」と思っちゃう。
- 佐々木
私もフリーランスになった時は、仕事をいただくために2〜300人に「仕事をください。私はこういう仕事をしています」って、暑中見舞いや年賀状に書きました。印刷技術のない時に、一通一通、書いて出しましたよ。で、やっぱりそこから拾われて、後に、ニュースステーションのレポーターの仕事につながったんです。
- 田澤
すごい。やっぱり運もいいですね。それが大事なんですよ。数打って、外れた弾をもったいないと思わない性格が大事なんですね、たぶん。
- 佐々木
全然思わないですよね。当たったものだけにフォーカスを当てる。
12/25
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