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藤原和博さん
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記録を抹消するというのは知らなかった
- 佐々木
私、アメリカの10代裁判「ティーンズコート」を取材したことがあるんです。テキサス州でスタートしたんですね。
- 藤原
前に、テレビでやってたね。
- 佐々木
私、たぶん初めて日本では紹介したんじゃないかなと。1時間番組で紹介したんです。その取材で面白かったのが、テキサス州は法律まで変えちゃっているということ。 たとえば、万引きした子などの軽犯罪の子どもたちが、有罪を認めた場合、罰金を払うか、10代裁判を受けるかを選べる。通常だったら親が罰金を払って終わりというものを、親と子どもが有罪を認めて、ティーンズコートを選ぶと、その犯罪歴が警察のデータベースから消去されるんです。その代わり、10代の子どもたちの前で「万引きしました、こんなに怒られました、こんなに反省しています」などと、裁判をうける。 これが模擬裁判ではなく、本当の裁判所で、裁判官は大人。しかしそれ以外の陪審員も弁護人、検察側も全員が10代なんです。有罪と分かっているので、決定することは、社会奉仕の時間数と、今後の陪審員としての奉仕回数。ものすごく興味深かった。同年代で裁くことが、子どもたちにプラスに影響しているんです。
- 藤原
それはまだ続いてるの?
- 佐々木
はい。テキサス州の婦人会が不良化しちゃった子どもたちの更生のために考えたことが、実際の法律に組み込まれて、きちんとした裁判所でやっていたんですね。私が取材したときに既に12州に広がっていると言っていました。先ほどの「ナナメの関係」ではないですが、子どもが子どもの前で懺悔する方が、親に怒られたり、警察に怒られて、罰金で100ドル取られるより、よほど深く学ぶ。そして、それを選択した子どもに、大人の社会が、そのあやまちを帳消しにしてあげるよと啓作の記録から消してあげて、もう1回やり直してごらんって、サポートする。素晴らしいと思いました。
- 藤原
記録を抹消するというのは知らなかった。
- 佐々木
そういう意味で、すごいんですよね。
- 藤原
すごいね。それさ、例えば殺人やレイプまでいくとどうなるの。
- 佐々木
軽犯罪まで。
- 藤原
弁護人、検察官の役をやるやつって、どういうやつ?
- 佐々木
私が取材したときは、高校生でした。過去に過ちを犯した子どもが手を挙げてボランティアしている場合もあるし、法律などの勉強をしている高校生がボランティアしているばあいもある。でも、本格的で、事件情報を読んで、事前に当事者とミーティングを持ちます。陪審員を選ぶのも本格的で、これは本当の裁判なので、罰の一つとして来ている子どもたちも含め100人ぐらいから選ぶ。一般のアメリカの裁判と同じプロセスで、被告の知り合いなどははじかれます。
- 藤原
それは法科大学に行く大学生や、将来弁護士になりたいようなやつの養成にもつながっているのかな。そうだとしたら、すごい話だけどね。
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