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藤原和博さん
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「ナナメの関係」がいっぱいないと
- 藤原
発見したり、早く対処するには「ナナメの関係」がいっぱいないと無理。さらに言うと、何かあったときに、「上下の関係」つまり「タテの関係」だけだと、呼んで怒るというだけになっちゃうでしょ。どうしたって指導がワンパターンになっちゃうんだよね。「ナナメの関係」が効いていると、そこに先輩として諭すとか、お姉ちゃんとして守ってあげるとか、逃がしてあげるとか、そういうことができるわけです、多様な選択肢がね。同じいじめに対しても多様な対処ができる。そういう意味で、「ナナメの関係」というのが、言葉としてはちょっと弱すぎるんだけど、ものすごく大事だと思っています。みんなが考えているより、100倍大事だと。
- 佐々木
そうですね。それって働く女性というのが増えてきている社会を考えると余計に。
- 藤原
そう。だから14、5歳の人間というのはむしろ、親や先生よりも「ナナメの関係」が大事だと言い切ってもいいぐらいじゃないかなと思う。 みんな結局、「ナナメ」にカッコいい人とか優しい人とかのモデルを探していくでしょ。「タテの関係」の中だけで逃げ場を見つけるというのはあり得ないんですよ。だから、息詰ったときには、「ナナメの関係」でどこかにつながって、逃げていく。例えば親せきのおじさん、おばさん。少しいいかげんなおじいちゃん、おばあちゃんのところに逃げていくしかないんだよね。
積極的な意味でもね、利害関係のない第三者とのかかわりはすごく大事。なぜなら親って子に対して、できないとイラ立つわけですよ。特に自分のコピーであるはずの子が、自分ができることができないというのが、ものすごくイラ立つ。 だから、お母さんで、誰にも経験があると思うんだけど、ピアノを弾ける人がね、自分の娘にピアノを教えるとき、自分があれだけ嫌だった厳しい指導、例えば、バーンとたたくとか、そういうことをやっちゃうお母さんって多いと思う。同じことは男親にも起きるわけで、自分がすぐに分かった数学の公式を自分の息子が分からなかったときに、怒っちゃう。怒っちゃうと手が出たりとか、いろいろなことをするでしょ。それが結局、息子の側にたまりにたまると怖いよね。
だから欧米ではエリートを教育するのに、自分でやるとややこしいしダメだから、寄宿舎というのができていったんだよね。自分で教えてはダメだと。 ところが、なぜか今、「ナナメの関係」で学ぶべきことまで親や先生に期待されて、親がいけない、先生がいけないとなっちゃっているの。これを何とか正さないと、ややこしいよ。
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