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藤原和博さん
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はっきり言って、7割方の校長は
- 佐々木
結局、規制があると言われているけれど、知恵や工夫でかなり何でもできるんだと聞こえてくるんですけれど、今、教育改革で一番、邪魔だと思うもの、あるいは抵抗だと思うものは何ですか? もし挙げるとすれば。
- 藤原
例えば、いろいろな企画が外部から校長に持ち込まれる。すると校長は、「それは教育委員会が許さないとか、文科省が……」って言うよね。僕は文科省の官僚と付き合っていて、今、文科省が改革について反対していることは1個もないですよ。例えば和田中で起こっていることも、「夜スペ」もすべてね。それから教育委員会が止めるというのも、まずないですね。むしろ、杉並区では和田中モデルを広めるというのを徹底的にやっていますから。
だからひたすら、抵抗勢力は現在の校長ですね。はっきり言って、7割方の校長は早くどいてもらった方がいい。現場の先生の方がよっぽどまともですから。
先生って意外と抵抗勢力のように思われるかもしれないですけど、生徒が喜んで、かつ、保護者が納得することには反対しないんですよ。例えば、企業の場合のように、足を引っ張ってでも蹴落としてやるというのはないですよ。なぜかというと昇進したいと思っていないから。さらに何かをやると目立って給料が100万円上がるとかということもないから、比較的、マジメな方がまともにやっているんですよ。僕は7割方の教諭は信じられると思っている。
だから外の風がどんどん入ってくれば、その刺激を受けてテンポもリズムも変わっていくし、和田中の先生がたのように、外の人が入るのも悪くないなっていうこともね。
最初は抵抗ありましたよ。例えば、地域本部のボランティアが職員室を横切ることだって、ちょっと冷たい目線があったんだけど。今や、職員室で給食を食べられる外部協力者が20人〜30人。職員室で給食を食べられるというのはすごいことなんですよ、ものすごいこと。他の学校では1人もいないんじゃないの。PTA会長でさえも、白い目で見るんだから。だから、そういう意味では、一も二もなく、校長です。校長の世代が変わらないとダメ。
- 佐々木
評論家とかマスコミは?
- 藤原
教育評論家と称する輩の中には、例えば、自分の息子や娘はさっさと私立の小中学校に逃がしておいて、それで「公立校はこうあるべきだ」とギャアギャア言っている方々がいるんだけど、まあ、恥を知ってほしいですね。それから、もっとひどい評論家も。例えば「夜スペ」のときに面白かったのが、第一報のとき、「これは教育の崩壊だ」とまで言ったご仁が、2、3日後に風向きが変わったとたん、簡単に前言を翻しちゃうのね。翌日には石原知事が「夜スペ」擁護発言をし、文部科学大臣も地域の工夫をどんどんやってほしいと推進発言が続いたでしょ。さらに都教委(東京都教育委員会)の教育委員までもが、地域で工夫をするのをつぶすなと。極めつけは、朝日新聞が天声人語でエールを送った。そうしたら、「教育の崩壊だ」とまで言った評論家が手のひらを返したように、「上の子を伸ばすことはいいことだ」とかなんとか言っちゃってるわけ。テレビによく出てくる人なんだけど、要はそんなもんですよと。そういういい加減な評論家の素性がバレて良かったんじゃあないかな。
13/30
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