ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第12回 大平 健さん

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大平 健さん
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精神科医ならどうするか
- 佐々木
わたし、以前から心理学に非常に興味がありまして。通訳になったころには知人と一緒に、精神病院に1週間ほどボランティア研修に行ったことがあるんです。隔離された入院病棟で毎日、患者さんと過ごしました。とても貴重な体験でした。
それで、これはとてもベーシックな質問なんですけど、精神科医は患者さんの話を聞いて、会話をすることと、薬の処方を併せて行われるわけですよね?
- 大平
精神科というのは、みなさん、あまりおわかりにならないと思うんですけれど、たとえば定年退職なさったある紳士が、佐々木さんのところへ相談に来たとします。退職金の3,000万円を小豆相場に入れたら全部すってしまって、眠れなくなりました、なんとかしてください、と言ったとする。
そのとき、もしも佐々木さんが睡眠薬かなんかお持ちだったら「分けてあげましょうか」というのが、実は一番の親切だと思うんです。ほかにはしようがないですよね。
- 佐々木
はあ。
- 大平
でもそれは、そんなことがあったら眠れなくなるのは当たりまえだから内科でも耳鼻科に行っても、「お薬あげますね」と言うんです。それに、その対応の仕方は、お医者でない人だって同じなんですよ。
- 佐々木
では、精神科の場合は?
- 大平
薬を処方する前に、まず話を聞くわけです。
なぜ、この人はたった3,000万円なくしたくらいで眠れなくなったのだろう。もしも自分のお金だったら、僕なんかは1万円でも眠れそうにないですけど(笑)、「そう考えてはいけない」と訓練されているんです。だって100円落として眠れなくなる人は、おそらくいませんよね。同じように、3,000 万円でもどうってことない人もいるかもしれないでしょ?
- 佐々木
かもしれませんね。
- 大平
たとえ自分にとって超大金だからといって、眠れなくなるのは当たりまえだと思ってはいけないんです。そこで、なぜ3,000万円ぐらいで眠れなくなったのか、その理由を聞いてみるわけです。
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