ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第119回 久保純子さん

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久保純子さん
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トイレにドアがなかったり
- 久保
高校のほうが大変で、白髪になり、生理は止まり、体重は15キロ増え、円形脱毛になり。それは、何があったというよりも、毎日の生活だったんだと思うんですよね、どちらかというと精神的なことで。
- 佐々木
私も、アメリカ留学で8キロ太り、生理が止まりました。同じですね。病院に行って、「原因はカルチャーショックです」って言われて、「私が? どうして、カルチャーショックを?」ってさらに驚いて。
- 久保
いや、本当にびっくり。そうですよね。イギリスでは、両親がいて、家族がいて、安心感があって。高校で、一人になり、自分で戦わなくてはいけなくて、乗り越えなくてはいけなくてという、毎日が戦いだった気がするんですよね。「今日も何かがあるかもしれない」「今日も議論かもしれない」「今日もご飯がないかもしれない」というような……。
- 佐々木
それは辛いですね。
- 久保
そうですね。ホームステイ先も、決して裕福とはいえない家庭だったので、トイレにドアがなかったり。
- 佐々木
トイレにドアがなかった?
- 久保
それも、もちろんですし、食べ物は、1ドル99セント、36枚切りのパンにピーナツバターを塗ったり、缶詰を開けて、缶詰1個とパンを食べたり。だからかえって栄養バランスが偏って太るんですよね。そういう毎日だったので、精神的に辛かったことが多かったのです。
- 佐々木
でも、1年間、そこのホームステイを替わらずに? 私、一度かわりました。ワシントンD.C.に行ったときに、独身のビジネスウーマンの家に行ったんです。バリバリ働いていて、夜遅くにしか帰ってこない。そして毎晩「私、夕食はポップコーンなの」と言って、ボールに山盛りのポップコーンをくれる。冷蔵庫は空っぽ。…… それで1週間もしないうちに他の家に代わったんです。
- 久保
やっぱり交換留学だったからですかね、それができなくて。アメリカ人は、ボランティア精神で人を受け入れるということにプライドを感じているから、私が出て行ってしまうと、対外的に、そのファミリーは、100人の町で生きていけなくなってしまうので、なかなか抜け出せなくて。ご飯も日本から送ってもらうと「魚臭い」と言うんですよ。魚じゃないっていうのに、ふりかけも「臭い」と言われるんです。だから、そういうのも食べられなくて、その2年半があったので。
- 佐々木
学校が替わっても、ホームステイ先は替わらなかったんですか?
- 久保
ホームステイ先は、2年目には替わったんですけど、それはまた、それで、やっぱりちょっと事情がある家庭が多いんですかね。うちの主人の留学先は、カリフォルニアで太陽をいっぱい浴びて、お野菜もいっぱいあって、おいしいものを毎日食べてたよ、みたいなことを言うんですけど、東の上のほうは、たまたまだったのかもしれないですけど、離婚したご家庭で、息子さんは1回牢屋に入った経験があって、時々帰ってきたり、高校の子どもが妊娠しちゃって、というような。それが現状だろうな、と思ってるんですけど。その経験があるので、もう怖いものはない。
- 佐々木
じゃあ、今日の生活なんか、もう、幸せの絶頂?
- 久保
幸せ極まりないですね。おいしいものを食べて、自分の意思で動いて、議論もせずに、のほほんと暮らす。今、一番楽しいですね。
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