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渡邉 美樹さん
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愛情の大きさの分しか、いい事業ってできないんだよね
- 佐々木
ところで、さっき言ってた「愛」の話ですけど、ノードストロームのタイヤの返却の話は有名ですけれども、渡邉さんのお店での、お店のビールの泡の量についての事例を読みました。そういうことに出くわした時に、どう指導していくんですか? 結局、愛があれば……。
- 渡邉
解決できるよね。これは、僕の全ての事業に共通してる事なんだけど、対象を自分に置き換えなさい、という事だけなんだよね。要は、もし自分がお客様としてここに来たら、どうしてほしいかとか、もし自分の親がこの介護施設に入ったら、どうしてほしいかという事を置き換えて、それをそのまま忠実にするしかない。
でも、置き換えたときに、愛情の小さい人っていうのは、小さな事しかできないんですよ。そうでしょ? 愛情の大きい人っていうのは、あれもこれもしてあげたいっていう事になるわけだよね。だから、愛情の大きさの分しか、実は、いい事業ってできないんだよね。
- 佐々木
それは、どうするんですか? 愛情の小さい人も入社してきますよね?
- 渡邉
いっぱいいる。それで、なおかつ、「お前、小さい頃、どういう生活をしてた?」っていうと、「お父さんとお母さんが離婚して」とか「お母さんが、どっかの男に走って」とか、そういう話を聞くと、「そうか。お前はやっぱり愛情を受けていないんだな。だから今、お前はこうやって人間が冷たいんだな」と。
- 佐々木
(笑)言うんですか?
- 渡邉
はっきり言う。「お前、人間が冷たいよ」と。そのときに、「じゃあ、どうしたらいいんですか?」って、同じような事を聞くわけよ。「愛情深くなりたいと思いなさい」と。もう、それしかない。
「毎日、自分は愛情深い人間だったか振り返りなさい。で、愛情深い人間になりたいと、四六時中思い続けなさい。そうしたら絶対になるから」と。で、なるんですよ。
- 佐々木
「お前は冷たいな。愛がないな」って言われて怒っちゃう人もいませんか
- 渡邉
それは、いないね。落ち込むやつはいるけどね(笑)。「やっぱり、そうですか」って。
- 佐々木
「そうですか。薄々気がついてました」みたいな感じですか?
- 渡邉
でも、そういう冷たい子っていうのは、本当に天才的に冷たいんだよね。たとえば、部下が何か相談するときに、そっぽを向いて頷いたりね。「お前、何で部下の目を見て頷かないんだ? 自分が部下だったら、嫌だろう?」って言うと、「そうですね」と初めて気がつくわけです。悪気はないわけよ。心の底から冷たいの。小さい頃に複雑な家庭環境の中で育ったんだ、その子はね。
- 佐々木
でも、一度社員になった人は見捨てないんですね?
- 渡邉
見捨てない。好きだから。
- 佐々木
冷たい子も好き。
- 渡邉
皆好き。だから、冷たくても、何とかしてあげたいと思うし。やっぱり、この会社に関わったからには、何十億人の中で、高々3〜4,000人とかでしょ? すごい縁でしょ?
- 佐々木
奇跡的な縁ですよね。
- 渡邉
そうだよ。で、一緒に時間を過ごすとか、一緒の夢を追うとか、そんなの、もう奇跡的な関係でしょ? それを大事にできなかったら人生なんか楽しくないでしょ。だから、すごく大事にしてる。
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