表現力Aコースは、自分の思いや考えを素直に伝えるための表現力を身につける3回連続のコースで、実習を交えながらコミュニケーションのスキルアップを図ります。
講師にお迎えしたのは、心理カウンセラー兼同時通訳者そして即興演劇集団のメンバーと幅広くご活躍されている石井浩子さん。
今回の講座はその第1回目「コミュニケーションの基礎」です。
■みんな同じ目標をもっているけれど…
受講者のみなさんと石井さんが輪になって座り、一人ずつ簡単な自己紹介をすることから講座がはスタートです。自己紹介には、硬さがあったものの、伝えたいことを周囲にきちんと表現したいという思いが一語一句に込められていました。
■コミュニケーションのエッセンスを「人間地図」で体験
コミュニケーションは、お互いを知り合うことから始まります。
そこで、どんな人がこの場にいるのかを知る手段として石井さんが提案したのは、「人間で地図を作る」ということ。
最初に作ったのは、「住んでいるところ」というテーマの地図。会場の一部を東京都と設定し、実際の地図に見立てます。お互いの住んでいる区や市を聞いていきながら、設定した地図の中で自分が住んでいる所に立ち、完成です。
直前の自己紹介を基に互いに住所を聞き合うことは、他の人に話しかける動機になります。また完成した地図から、他の人の「住所」という情報が得られます。つまり、コミュニケーションをとって相手のことを知るまでの流れをシミュレーションしたのです。
続けて、「職種」「他人と何かをすることの得手・不得手」の地図作りに挑戦。みなさんが声を掛け合いながら地図を作り上げていくうちに、みなさんの緊張がだんだんと解けていきました。
■言葉のキャッチボール、本当にできてる?
次に、自分が大切に思っていることを画用紙に描くという作業にかかりました。描き終えたら二人一組になり、片方ずつ自分が描いたものについて要点を押さえて相手に説明します。そして全員の前で、ペアを組んだ相手の人になりきって絵の説明をかいつまんで発表し、その後、お互いの発表について感想や意見を述べ合いました。
相手に思いを正確に伝えることと相手の話に耳を傾け要点を捉えること。ふだんの生活で何気なくしていたことが、いかに誠意とエネルギーを要するかを、みなさんの表情が物語っていました。
■自分を知ることと相手を理解すること
最後に、講座を通して気がついたことを発表し合いました。特に、「相手を理解しようとする努力と理解してもらおうとする努力、話を組み立てて話すということの大切さを学んだ。しかし、実際は自分はまだそれができていないことを痛感した」という発表が目立ちました。それに対して石井さんは、「人は自分のすばらしいものに気づかない。自分でまだまだと思っているものでも、実はできているということをちゃんと認めてあげてほしい」とねぎらいの言葉をかけられていました。
今のレベルで満足せず、実りあるコミュニケーションを築けるようになりたいというみなさんの前向きな姿勢が、みなさんが今回の講座をより意味のあるものにしたようです。
石井さんは、「自分のことをたくさん表現できるようになれば、自然と相手のことも見え、コミュニケーションを取りやすくなる」ということで、次回以降のテーマの柱を「コミュニケーションの自己表現」と設定されました。
■新しい人間関係は始まったばかり
閉会後、受講者のみなさんが飲み物やお菓子の周りに集まり、自然と歓談が始まりました。退室の際、ほとんどの方が「次回また会いましょう」と言い残していったのが印象的でした。