マネージメントコース第1回目の講座、「『シブヤ』から学ぶマーケティング」。『シブヤ経済新聞』の編集長の西樹さんを講師にお迎えし、マーケティングを学びたいすべての人を対象に、渋谷のビジネスパーソンがどんな発想でビジネスに取り組んでいるかを分析しながら、そこにあるマーケティングの手法について解説いただきました。
■どこから来てるの? 「シブヤ」ならではの「ライブ感」
近年メディアなどで報じられるようになった、渋谷の「大人化」。まさに街としての過渡期を迎えている渋谷と、その余波を受け変化を遂げる代官山などの近郊をまとめて「シブヤ」と西さんは呼んでいます。この「シブヤ」がどのようにして現在のように至るのかという話から講義はスタート。独特の立地条件を逆手に取った土地利用や人気スポット誕生の裏にある参入企業グループの競争、渋谷近郊地区の発展につながった消費者の行動パターンなど、常に動いている感のある「シブヤ」の原動力となった要因が次々に提示されました。いずれも、広域渋谷圏を隅々までウォッチングしてきた西さんだからこそ気づくことばかり。なじみのスポットのからくりのように、目からウロコが落ちるような話題の数々に興味をそそられ、「マーケティング」が講義のテーマということを忘れそうなほどでした。受講者のみなさんは、西さんの穏やかな語り口に引き込まれているご様子で、熱心にメモをとっている方もおられました。
たった一つの事象に対しても、多角的な切り口で観察をすればするほどより深く探ってみようという好奇心が生まれるということを実感できる内容でした。
■ブレイク連発の渋谷系ビジネス。その三大特徴。
発信されるたびに関心を集める渋谷発の斬新なビジネスケースにはどんな共通点があるのでしょうか。「シブヤ」を知り尽くした西さんが定義した渋谷系ビジネスの特徴は、「付加価値創造」、「コラボレーション」、「コミュニティ」の3点。それらが顕著に現れている事例がいくつも紹介され、受講者を驚かせます。
話題になったショップや製品の数々は、「シブヤ」に行きたくなる仕掛けが施されていたり、渋谷独自のスピード感や自由度を生かした異業種間のコラボレートだったり、近い価値観を持つ人々が自然に集う場であったりと、思い当たる点が数多くあるのです。渋谷に向かう消費者の志向や動向を正確に捉えている渋谷系ビジネスの勢いは止まることを知りません。
■「シブヤ」はサバイバーになれるか
1時間で受講者のみなさんもすっかり気になってしまった「シブヤ」の未来とは? 近い将来訪れるであろう「シブヤ」周辺の交通アクセスの大きな変化に対応して、渋谷にいる人のカルチャーなどを掘り下げ、あらゆるコンテンツの中で進化を遂げ、そして再開発地域との差別化につなげることが予想されるという西さん。消費者の目をどのように『シブヤ』へ向けていくのか。再開発地域が持ち得ないすき間をビジネスチャンスとして活性化させる若いチャレンジャーの登場。あるいはシブヤがこういったチャレンジャーに与えるモティベーション。そういったものを『シブヤ経済新聞』を通して見守って生きたいと思いますという西さんの「シブヤ愛」あふれる言葉で、講座は締めくくられました。
■歓談タイムはオフレコタイム!?
渋谷のビジネスサイドからの見方を提示した、西さんの「シブヤ」論にすっかり感化されてしまったのか、講義後もお菓子を交えながらの歓談が30分以上に及びました。講義の中で紹介された事例や話題のスポットのここだけの話も飛び出し、おトクなひとときとなりました。西さんがおっしゃっていた「渋谷はオトナが行っても楽しいですよ」という一言、講義を聞き終えた受講者のみなさんには十分すぎるくらい説得力があったようです。